ウチの婆さんは10年くらい前に死んだんだけど死ぬちょっと前に婆さんが面白い事を言った。
当時はもう80超えていて、痴呆が始まっていたので起きていれば常に1人言をブツブツと言っていたのだが、ある日突然
「みっちゃんどうしたの?」と壁に向かってハッキリとした口調で目の色を変えて言い出した。
この「みっちゃん」と言うのは婆さんと大変仲の良かった妹さんなのだがもう30年前にウチの婆さんが東京に出てきてからは1度も会ってなくて手紙は毎月交換していたが、電話は2年に1回くらいしかしないという関係だったらしい。
俺は昔の写真しか見た事がなかったしその人の話も今までほとんど聞いた事がなかった。
名前くらいは知っていたし、仲が良かったとも聞いていたので俺は
『30年も会ってないから年取って寂しくなって思い出したのかな?』
と思って
「ばあちゃん、みっちゃんに会いたいの?今度行こうか?」
とその場でスグに声を掛けたら、婆さんが急に泣き出した。
俺が『やっぱり寂しくて会いたいのかな』と勝手に思っていたら婆さんが
「今、みっちゃんが来てくれたの。そこにいるの」
と言い出した。
そして婆さんが物凄い形相でこう言った
「みっちゃん死んじゃったんだって」
「もう会えないからって、サヨナラって言ってた」
と今まで呆けてたのがウソのようにハッキリとした口調で俺の目を真っ直ぐ見て言った…
そして俺の母親が
「婆ちゃんどうしたの?大丈夫?」
と言ったら
「みっちゃんが死んじゃった」
とまた言った。
いつもと様子が違うし少し怖くなったので母が田舎に電話したが誰も出なかった。
結局その日は田舎に連絡が付かなかったので、そのまま床に就いた。
床に就くと間もなく電話が鳴りだした。
寝る前に変な事があったので物凄く怖かったが電話に出たら案の定と言うべきか、田舎からだった。
「みっちゃん」が亡くなったので葬式に来て欲しいと言われた。
そして亡くなった時刻を聞いてまたビックリした。
なんと婆さんが「みっちゃんが今来た」と言った時刻の5分くらい前に亡くなったらしい…
こういう出来事はどんな怪談本にもありがちな話だしオカルトなんて気にもしてなかったけど、この出来事以来オカルト話を頭から否定する事はなくなったし、興味深く感じる事のが多くなった。
これを読んだ直後は後ろを振り返らないで下さい…