去年の夏に先輩から聞いた話。
ある男性が恋人とドライブに出かけた帰りに事故が頻発しているという山道を通った。
道はカーブが多く、あたりは真っ暗。
恋人は助手席でスヤスヤと眠っており、男性が車を運転していた。
すると、恋人が寝言で「次は右・・・」と言う。
確かに次のカーブは右に曲がっていた。
「次は左・・・」その次のカーブも彼女の寝言どおり。
男性は不審に思ったが、前に通ったことがあるのかな?と
あまり深く考えずに運転を続けた。
「右・・・」
「右・・・」
「左・・・」
恋人の寝言は正確だった。
男性はだんだんボンヤリとしてきて、彼女の言うとおりにハンドルを切るようになってきた。
「次は左・・・」
左か、と男性がハンドルを左に切った途端、
ヘッドライトにガードレールが照らし出された。その下は崖だ。
危ない!!
男性は驚いて急ブレーキを踏み、間一髪崖の手前で車は停止した。
すると、助手席の恋人が突然、男の声で叫んだ。
「ちくしょおお!!」