芥川龍之介の『歯車』という話を知っていますか?
私がこの話を知ったのは高校生の時の国語の授業中でした。
その日の授業では芥川龍之介についてやっていたと思います。
国語の教師はその日の授業のまとめを言った後、突然
「彼の『歯車』という話を読むと気が狂ってしまうから、読むんじゃないぞ」
そういって授業を終わりにして出て行ってしまいました。
当時私は本を読むのが嫌いだったので、読む気など全くなく
「このオッサンなに言ってんだ?」
とぐらいにしか思っていませんでした。
周りの友人たちにしてもあまり印象に残らなかったのか、読んだという人はいなかったと思います。
それから数年が経ち、私は大学生として過ごしていました。
この時私は本を読むようになりさまざまな本を読むようになっていました。
ある日本屋に行ったとき、ふと本棚を見てみると芥川龍之介の『歯車』がありました。
高校時代の国語教師の言葉を思い出し、ちょっとふざけ半分で読んでみようと思いすぐレジへ持って行きました。
私はそのとき別に読んでいる本があったので、それが読み終わってから読もうと家に帰ってから本棚へ
『歯車』を入れておきました。
しばらくし、バイトから疲れて帰ってきたある日、前まで読んでいた本も読み終わったので『歯車』でも読もうと思い、本棚から取り出し読み始めました。
読んでみたところ文章が分かりづらく、なんの起伏もない文章で正直私には難しい話であった。
しかし読み始めるとどんどん読み続けている自分がいました。
どれぐらいたったろうか突然私は金縛りにあってしまいました。
時計は3時ちょっと前をさしていました。
しばらく動けず声も出すこともできませんでした。
唯一できることは目を閉じることのみです。
私は目を閉じ早くこの状況から抜け出すのを祈るだけでした。
すると突然私の部屋のドアが
バタンッ!!
と開き誰かが中に入ってきました。
恐る恐る目を開けその入ってきた“誰か”を見るとそれは真っ黒いシルエットでした。
目も鼻も口も何もない真っ黒な影です。
その影はまるで我が家のように私の部屋の真ん中にあるソファにリラックスした様子で座りタバコらしきものを吸いながらテレビをつけて見だしました。
そこで私は確信しました。
「この影は俺だ!!」
この『歯車』という小説はドッペルゲンガーを見た男の話なのです。
その影は私の影なのです。
私は部屋でくつろぐ私の影を見ながら、必死で声を出そうと頑張りました。
するとちょっとずつ声が出るようになったのです。
そして私がなんとか出せる精一杯の声で
「消えろ!ここは俺の部屋だ!」
と言いました。
すると影はもの凄い勢いでこっちに振り返りました。
その顔にはうっすらと私の顔が浮かびあがっており憎しみを込めた表情をしていました。
そして影は
「クソッ…あと少しだったのにな…」
とつぶやきいなくなりました。
それと同時に私は安心したのか意識を失ってしまいました。
気づいたのは次の日の朝です。
私は影がいたはずのソファで寝ていました。
手には『歯車』がありました。
なんだ夢か…と思い安心していました。
学校に行こうと色々準備をし、携帯を持った時着信があるのに気づきました。
着信時間は夜中の3時13分…番号は「表示不可」と書かれています。
伝言が残っていたのですが、雑音にしか聞こえませんでした。
この表示不可の電話はいまでも3ヶ月周期にかかってきます。
決まって24日の3時13分に。
調べてみると芥川龍之介の命日も24日だそうです。
関係ないかもしれませんが非常に不安です。
そして影の「あともう少し」とはなんだったのでしょうか?
私は今うつ病患者です。