開かずの間のアルバム

開かずの間のアルバム 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

これは子供の頃、引っ越す前に住んでいた一軒家での話です。

その一軒家には玄関を上がるとすぐ横に和室がありました。
入口の障子戸はずっと閉めたままで、いわゆる「開かずの間」のような部屋となっていて、気にはなっていましたがタブーのような空気感が家族内にあってずっと触れずにいました。

しかしある日両親が出かけて私1人が留守番をしている時に、ふと気になって和室の中を覗いてみたのです。
どうやらその部屋は物置として使用していたようで、ダンボールが積み重なっていました。
タンスの上には日本人形が飾ってありました。黒いおかっぱ頭の女の子の人形で、真っ白な顔に赤い口紅と、真っ赤な和柄の着物が印象的でした。

取りやすい位置にあったダンボールの中を見てみると、古いアルバムがあったので取り出してページをめくると、見知らぬ女の子が私の両親と写っています。ですが私は一人っ子です。
親戚の子供かな?と思ってそのままアルバムは元のダンボールへ戻しましたが、その日の夜から寝ていると体の上で誰かがバウンドしているような衝撃を感じるようになりました。

それはけっこうな重さで、明らかに人間の両脚で踏みつけられている感覚がしたのですが、目を開けたくても体が硬直して動けません。
1週間くらいその状況が続いて完全に寝不足と疲労を感じていた私は、和室へ勝手に入ってアルバムを見た日からこんな現象が起きた事を思い切って両親に話しました。

話を聞いた両親はヤバいという表情を一瞬していましたが「何も心配しなくていい」と言うだけ。
明らかにアルバムに写っていたあの女の子と関係がある様子でしたが、深くは追及しませんでした。
後にまた和室をこっそり覗くと、和室にあったアルバムと人形はいなくなっていました。

ですがその後も私の身に起きた不気味な現象は治まらず、心配した両親もついに重い口を開いてくれました。

私の両親は私が生まれる前に女の子を授かりましたが、6歳の時に交通事故で亡くなったと聞かされました。
私には姉がいたのです。
人形は出産祝いとして親戚から贈られたもので、姉が亡くなったからといって捨てるのも気が引けるため、そのまま飾っておくことにしたみたいです。
姉が使っていた物や、思い出させる物を和室にまとめて置いていましたが、私にもいずれは話をしようと思っていたという事でした。

しかし近年、閉めておいたはずの和室の扉が開いていたり、玄関の靴が散乱しているなどの奇妙な現象が頻繁に起こっていたと言うのです。
人形に関しても、ケースごと床に落ちて割れたり位置が変わっているなどの現象が起きていたのでした。

対処に困った両親は知り合いのお寺の僧侶に頼んで、和室のお祓いを依頼しました。
僧侶の方曰く、人形には亡くなった姉の念が入っており、いつも家族の様子を見ていると言われました。
姉の魂がこの世に未練があって浮遊している間は、その人形を通して意思を伝えようとしている、特に幼い子供の魂は人形に宿りやすいとも説明していました。
つまり姉の存在を隠すようにしていたことで寂しくなった魂が、自分を主張しているらしいのです。

それから私と両親は、アルバムや思い出の品を整理して姉の供養に努めました。
人形は持っていてもあまり良くないという僧侶の話から有名な人形寺に持参することとして、姉の持ち物を残し過ぎているのも供養には良くないらしく清めて処分しました。
仏壇も購入し、姉の写真を置きました。
それなりに手間と費用がかかりましたが、すべてのお清めやお祓いを済ませた後はぱったりと奇妙な現象が起こることもなくなりました。

最後に両親が仏壇の前で
「今まで隠しててゴメンね。」
と言って泣いていた姿が忘れられません。

今では姉の誕生日には線香をあげたり、思い出話をしたりしています。
きっと姉も、天国で見守ってくれているのだと勝手に思っています。

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