うちの母の趣味は人形作りだった。
でも下手の横好きというか出来た人形は怪談番組の小道具に使われそうなレベルの不気味なものばかりで、子供の頃母が作った人形は妹と私には恐怖の対象だった。
10歳くらいの頃に他県に引越しして専業でかつ慣れない土地で知り合いもいない母が市松人形作りにハマりだしたんだけど、出来た作品は今までの中で一番不気味な出来で特に目が>>って感じですごく気色悪かった。
母的には会心の作品らしく廊下に置いてあるタンスの上に飾ってたが、昼でも不気味なのに夜中にトイレに行く時嫌でもそいつの前通らないといけないから、目を合わせずにダッシュして通り過ぎるのが妹と私の毎日になった。
そのうち私が他県の大学に受かって一人暮らしし始めて最初の夏休みに実家に帰省したら、あのキモい人形が居なくなって代わりに家中にお札が貼られまくってて、何事だ?!ってなったが妹が事の顛末を教えてくれた。
一か月前に妹の友達が遊びに来て家に入ってからしばらくして誰かに見られてる気がすると頻りに言い出して帰るときに
「◯◯(妹)ちゃん、あの人形(市松人形)どうにかした方がいいよ。中になんか入ってる気がする」
って言われたんだって。
その子は霊感があるらしくて誰かから見られてる感じはその人形から感じるらしい。
実際その当時母は原因不明の体調不良に悩まされててそれが原因じゃね?!
ってなって急いで人形供養の寺を調べて持って行ったら、住職にこの人形には魂が入っていますと言われたらしい。
引っ越したばかりの寂しい気持ちを紛らわせるためにつくったせいでそういうのが入り込みやすい人形になったとかで、ヤバすぎて供養不可能と言われて保管庫みたいなとこに持っていかれて、それから母の体調は良くなった。
自分のすぐ身近でこんな「あなたの知らない世界」みたいなことが起こってたのが衝撃だった。
ちなみにお札は何年かした後放し飼いにしてたオカメインコが壁よじ登って噛み切ってほとんど剥がされました。