人が狂う瞬間

人が狂う瞬間 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

キチガイになる瞬間の模様ですが、現在地確定のため、マップを拡げ、濃霧の中目安になる地点を目を凝らして見ている私に、リーダーが近寄り「俺のガソリンはどこだ?」と訳の分からないことを聞いてきました。
私が変な顔をしていると大声で何度も同じ事を叫びながら谷に向かって走り出しました。
仲間がリーダーを取り押さえると、笑いながらおしっこを漏らしていました。
長沢尾根は登山者も少なく、トレースも薄く、地図を見ながら歩かなければならないのですがみんな疲れていて、地図の確認もしなかったのでこのような事態となりました。
リーダーは肉体的な限界と遭難という精神的なショックでおかしくなったと思われます。

この体験から、人がキチガイになるって、ちょっとした精神的なショックでなっちゃうのかなぁ。
と思いました。

道に迷い(というか笹藪の中であるが)、濃霧のため、来た方角もわからなくなった状況の中、ビバーグする準備もなく(テントも持ってこなかった)気が焦り、疲れて体力が無くなったとき、人って悪条件が重なると冷静になれなくなるのだ。と痛感しました。
同時に自分は冷静にならなければと思いましたが・・・

でも、リーダーは木に向かって大声で話しかけたり、地蔵に向かって話しかけたりしてパーティーの一員として、見るのが辛かったです。

何とか、下山しました。
夜7時ぐらいになったけど自宅までみんな帰れるけど、リーダーがおかしかったから、旅館に泊まって温かい飲物とアルコールを与えたら、ぐっすり寝て翌朝起きたときは普通に戻った(?)ような

でも遭難したときの記憶が変。我々のパーティしか居なかったのに、
「黄色いザックの4人組のパーティも居たとか・・・」
(何でザックの色を黄色で統一した4人組がおるねん(笑い))
「その人たちと合流してから楽しかった」とか

まぁリーダーも疲れていたんだろうなぁという結論になりました。
普段は几帳面で、冷静なリーダーだったんだけど



そうそう、ザックの色が「黄色」っていうのも見たこと無い。
リーダーに「そんな色、市販で売っているわけない」って言ったけど、真剣な顔で「ザックは黄色」って言い張ったので・・・

遭難当時は仲間の一人のヘッドランプの電池が切れかかったので時間との勝負だったせいもあり、リーダーとして
他のパーティに導いて欲しかったという願望が精神的なパニック時に映像として作り出したんではと我々は考えている。

リーダーは半年後、北アの冬山において不帰の人となったので何とも言えないが



リーダーが突然おかしくなる経緯を思い出しました。
道無き道を突き進んでいるとき、うっすらとした太陽が霧の切れ目から出てきました。
太陽の見えた方角で自分たちの進んでいる方角が違うということが判り、リーダーが休憩を取り、私に現在地点の確定作業を命じました。
霧も出ており、目印となる地点が割り出せずに、結構時間がかかっていました。
普段温厚なリーダーが「何している 早く割り出せ」と怒鳴り始めました。
その様子にみんなびっくりしていました。

サブリーダー「この霧では目印になるものが特定しにくい」と中に入ってくれました。

その時、装備をチェックしていた仲間の一人が「ヘッドランプの電池が切れそう」とリーダーに報告した瞬間。
「早く、現在地点!」と怒鳴りました。
私は我慢できなくなり「地図で確認しながら歩いてきたわけでないので、すぐに判らない」
と怒鳴り返しました。

するとリーダーが私に近寄り「俺のガソリンはどこだ」と2回小声でつぶやき、その後同じ事を叫びながら谷の方へ走り出しました。
「山では走るな」と私が叫びましたが止まらずに、仲間が追いかけて取り押さえました。

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