電子機器(?)といえば昔はポケベルの時代があったよね。
そのポケベルにまつわる不思議な話を・・・。
昔、明け方に突如ポケベルがなったんだよ。
俺も夢うつつでロフトベッドから降りてポケベルを手にしたら
「デンチ ヲ コウカン シテ クダサイ」
なんてでてやがんの。
ふざけんな、こっちゃ寝てんのに、そんなこと教えなくても良いんだよ! ってなもんでそのまま放置して寝たわけさ。
ウトウト、と夢の世界に移っていくと、今度は女の人がうわんうわんないてる声で目が覚める。
気味が悪いなぁと思いつつも目を開けてみると、泣いてるのは、My母。
激怒しようと起き上がった俺に、My母はこういった。
「今、実家のおばあちゃん(My母の母)が亡くなった・・・」
「え!?」
一通りお葬式もすんで、初七日が過ぎ、俺の身辺も落ち着きだした。
まあ流石に2、3週間たってたら悲しみも随分と癒えて来るわな。
んで当時、コナをかけてた女の子から念願のベルが入ったんだよ。
うひょ、やっと鳴らしてくれたかよ、ハニー。ってなもんでコールバックをかけようとしたとき、ハッと手が止まったんだ。
ポケベルの音で気が付いたんだ。
これ・・・ばあちゃんが死んだ朝、電池切れになってたじゃん?
それから電池換えてないんだ。
その間、着待ちオンリーだったらそれくらい持つって言う人もいるだろうけどさ、ベル持つくらいだからそれなりに友人いたし、いつもの頻度で友達とくだらないメール(メッセージ、だったな)をやり取りしてたんだよ。
そして、中学生のとき、一人暮らしのおばあちゃんちに泊まりに行った時の会話を思い出した。
おばあちゃんは嫁さんと(My母の兄の嫁)折り合いが悪くてさ。
納屋みたいな場所を改造した離れに一人住んでたんだ。
それまでの人生、本当に苦労した人で、人生最後までこんな境遇に晒されるのは、本当に俺も釈然としなかった。
だから俺はおばあちゃんに、俺んちで暮らしたらいいって言ったんだ。
「老い先短いワタシがそんな迷惑かけなくてもいい。
ここでひっそり暮らしていくから。ありがとうね」
礼を言われる筋合いのものかも、俺はわかんなかったんだけどもさ。
約束をしてもらったんだ。
ここで一人ってのは、あまりにも寂しい。
万が一、おばあちゃんが死んでしまうときには、どうか霊になってでも俺んところに来てくれ。
おばあちゃんは微笑みながら、首を縦に振ってくれたよ。
そうか。
おばあちゃんは約束を守ってくれたんだ。
俺が鈍感で馬鹿なばっかりに、気付いてあげられなかったんだろうかなあ。
ベル鳴らすまで、やきもきしながら俺のこと呼んでたんだろうかなあ。
そう考えたら、少し悪いことしちゃったかななんてね。
あっちの世界のことは良く知らないけどさ、時間一杯までここに居たのかも知れないけど、挨拶できなかった上に半切れでベル止めちゃったよ。
おばあちゃん、ごめんな。
ちなみにそのベルを鳴らした女の子は
「あ、ベル番(号)君のだったの? 誰のかなーと思って。ばいばーい」
ってその後連絡なし。
キューピットにはなってくれなかったな、おばあちゃんめ。
おわり