いろいろと怪談を見てきて、視覚的に恐怖を感じるアイテムとしては
たとえば、壁紙がはがれて血文字がというパターンとか、箱を開けると、爪が入っていたとか、髪の毛が入っていたというパターンがありますね。
それで、これらのアイテムを使って何か怪談が作れないかなあと思ってできたのがこの話です。
そうです。金属製の扉に食い込んでいる辺りがポイントなんですよ。
さて、ひとつ思い出しました。私が昔見た夢の話です。
でも、怖いというよりキモチワルイといった方がいいのかな?
場所はどこかわかりませんが、屋外で夜です。
すごく月が美しかったのが印象に残っています。
夢にはよくあることですが、私は私を客観的に見ています。
つまり私は、私の視点からではなく、テレビカメラのような第三者的な視点から私を見ているのです。
そこにある美しい女性がやってきます。
抜けるように白い肌と漆黒の髪をもった、「嫋やか」という表現がまさにぴったりとくるような上品な女性でした。
しかし、彼女はその外見にそぐわない、大きな鉈を手にしていました。
そして私に近づくと、いきなりそれで私の口を切り裂くのです。
それから切り開かれた口に手を入れてずるずると私の体から内臓を引きずり出していきます。
食道、胃腸、十二指腸…。
内臓の写真は見たことがあるのですが、実物を、それも自分の内臓を見るのはこれが初めての経験でした。
写真で見た内蔵とは違って、自分の内臓ですが、実に薄汚い色をしていました。
私は吐き気を覚えました。
しかしその女性は嫌な顔ひとつせずそれらを桶に汲んだ水で洗い始めたのです。
するとそれらはたちまち美しい桃色へと変化していきました。
その後、彼女は私に優しく微笑んで、その穢れの落ちた内臓を私の体の中へと押し戻してくれました。
意味が分かりませんね。