今年の1月の半ば。大学の卒業がぎりぎりだった俺は、珍しく真面目に夜も勉強していた。
そんで、頭にはいらねーってことで一服つけようとしたんだ。
俺は喫煙者だが彼女はタバコ吸わないため、俺んちでの喫煙領域は換気扇の下って決まっていた。
タバコに火をつけて、換気扇を回して。
で、当然どっかしらの窓を開けるよな?
換気扇のすぐ脇、ボロイアパートの2階の通路に面してる窓をちょこっと開けたのさ。
そしたら女と目があった。
横向きの顔で、なんつーの?目力メイクとか言うのか?そんな感じのキッツイ印象を受けた。
若干ビビリながらも、
「こんばんは」
って挨拶すると、ちゃんと
「こんばんは」
って戻ってきた。
で、安心した俺は目線を外してタバコを吸った。
窓の外の人影も怪しい動きをせずに、とっとと(俺が窓を見てる状態からすると左側にある)階段を下りていった。
ビビッタ自分を情けなく感じながらタバコを吸ってたんだが、どうにも違和感が残ったんだ。
タバコを吸いきっても、そのモヤモヤ感は消えなくて。
火を消して、換気扇止めて窓を閉めるときに気がついた。
彼女は左に進んでいった。
でもなんで、俺と目があったとき右側を向いていたんだろう?