うちの学校の怖い話。
10年ほど前、ある男女がいたのだが、この二人は学校一と言われるほど、仲の良いカップルだった。
でも、カップルと言っても、一度もデートをしたことがなかったそうだ。
なぜなら、どちらの親も家庭の規則が厳しく、学校と部活以外は、ほとんど外出禁止であったからだ。
ある日、その男の子が女の子に公衆電話から電話をした。
実は、この公衆電話は呪われていて、その公衆電話が電話をした人に成り済まし、電話をかけたりする事もあるという。
でもその男の子は、そんな噂話など全く知らずに電話をかけてしまった。
「○○ちゃん(女の子の名前)、今夜、家抜け出せる?出来たら今夜デートしようよ」
「いいですよ。何時ですか?」
「じゃあ、今夜の12時頃にしよう」
「あ、後、どこで待ってればいいですか?」
「それじゃあ、学校の前の公衆電話(噂の呪いの電話)のところで待っててよ。すぐ行くから」
二人はそれだけを言って、会話を終えた。
そして、夜の11時30分頃に、彼女は家を出た。
約束通りの12時頃、公衆電話のところに着いたが誰もいなかった。
「おかしいなあ。すぐに行くって言ってたのに」
30分近く待っても、誰も来なかった。
「もう帰ろうかな・・・」
彼女が帰ろうとしたその時、その公衆電話が鳴った。
夜中に一人だけだったということもあり、彼女は公衆電話を見つめた。
いつまでも鳴り止まないその公衆電話は、まるで彼女に出て欲しいようにも思えた。
そして彼女は、その電話の受話器に手を伸ばした。
「もしもし・・・」
ガチャガチャと音がしたが、何も起こらない。
それでも彼女は、電話の相手に呼びかけた。
「もしもし・・・」
「もしもし・・・」
彼女は何度も呼びかけた。
「・・・・・・ろ・・て・・・」
電話の相手が何かを言ってきた。
でもそれは、何を言っていたかは、よく聞き取れなかった。
「後ろ・・・いて」
途切れ途切れだが、何を言っているのかはハッキリと分かった。
「後ろを向いて」
彼女は後ろを向いた。
夜中に彼女の叫び声だけが、静まり返った辺りに響いた。
しかし次の日、彼女は発見されなかった。
彼女はそこに倒れておらず、家にも帰っていなかった。
結局、夜中に抜け出した彼女は、誘拐されたということになった。
だが、デートを誘ったはずの彼は、その日一度も彼女の家に電話をしていなかった。
それからは、毎日夜中の12時頃に、女の子が公衆電話の前に立っているという。