小学5年頃に体験した話。
学校の終わりにほぼ毎日俺は子供会に行っていた。
その日は雨で台風が直撃するとのことで、早めに帰るよう子供会の指導員に言われていた。
仕方なくその日は家に帰る事にして、家での兄とのチャンネル争いに早々に敗北して早めに寝ることとなった。
夜遅くトイレに行くと凄い雷の音がしていて、直撃だなと思いながらまた眠りについた。
朝起きて、その日は何かの祝日で休みだった俺は、朝早いが子供会に行くことにきめて外に出た。
夜中まで台風で雨だったのがウソみたいな晴天で、ちょっと驚いた記憶がある。
こんな朝早くに子供会に行っても誰も居ないだろうと思っていたが(指導員はもちろんいるが)、同じ子供会の野球部のkがいた。
俺はちょっとうれしくなってkに挨拶をした。
kもうれしそうだった。
二人でグランドに行ってキャッチボールをすることになって、グランドにむかった。
そのグランドは軟式野球なら二面出来るくらい広く、ナイター設備もあり立派なものだった。
近くから徐々に離れながらキャッチボールを始め、5m位離れた所で地面に絵が書いてあるのに気付いた。
「kこれ見てみ」
というとkが来て、ほぼ同時位に
「ナスカの地上絵!!」
と叫んだ。
そこにはナスカの絵のハチドリの絵が書かれていて、とても綺麗に書いてあった。
大きさは30cmくらいだった。
あまりの綺麗さに
「すごい上手にかいてるな~」
と言いながら、kは足で
「えい!」
とその絵を消した。
笑いながらキャッチボールを再開。
kがボールをキャッチミスしてボールを拾いにいくと
「うわ!」
と言うので、
「どうした?」
と近寄ると、そこには1m程の同じハチドリの絵が書いてあった。
その絵もとても綺麗で、先ほどのハチドリを拡大したものだとわかる位同じ絵だった。
俺は絵の綺麗さに感心しながら、誰が書いたんだろうと思いながら周りを見渡した。
「え?ちょっと待って、なにこれ?」
と俺は驚いた。
その絵はグランド一面に無数に書いてあるのがわかったからで、その絵はハチドリが重なり合って書いていたり、絵が途中で書かれてなかったり、大小様々で、どの絵もとてもきれいだった。
その無数に書かれている絵を見ていくと、ハチドリ、コンドル、サギ、などの有名な絵や見たことの無い絵が大小重なりながら描かれていて、小さいもので30cm~大きいもので4m位あった。
何度も言うが、どの絵も失敗した感じがなくとても綺麗だった。
絵の数も数百は書かれている感じだった。
グランドの中心の辺りに、ちょっと地面からでは解らない絵が書いてあるのが分かったので、グランドの端の観戦する土手があるので、そこに上り確認してみたが、その絵は他の小さな絵と重なりながら20~30m位の大きさで、半円形で幾何学的でよく分からない絵だった。
「昨日は台風で遅くまで雨だったのに何時書いたんだろう?」
とkが言った。
俺はちょっと寒気がした。