これは僕が高校の時、学校祭準備期間中に体験した話です。
僕の学校の文化祭では、1、2年生がダンスや歌で盛り上げ、3年生はミュージカルや演劇といった本格的なものを選ぶのが恒例であった。
そういったこともあり、3年生だけ特例で準備期間中のうち1日だけ、出し物や衣装の準備で学校へ宿泊できることになっていた。
宿泊日当日は準備に追われていたが、そこは思春期!笑
時間が経つにつれ、男子はバレーやバスケ、女子は輪を作ってガールズトークと、学校祭の準備から次第にかけ離れていった。
僕も男連中とバレーやバスケに汗を流して1時間ほど経った頃。
友達と休憩がてらステージに腰をかけ談笑していた時、体育館と廊下をつなぐスペースから男子がこちらに向かって手を振っているのに気づいた。
その人は坊主、白T、紫色のジャージという姿だったが、私はすぐ異変を感じた。
「紫色のジャージ…そんな人いたかな?」
隣にいた友達に尋ねようと、一瞬目を離した間にその男子はもういない。
宿泊中のクラスメートはだいたいTシャツにスウェットかジャージであった。
特に僕の高校では中学時代のジャージをあえて履くことが流行っていたこともあり、さらには坊主とくれば野球部ぐらいのもの。
どのクラスの誰かはすぐに特定できるはずであった。
しかし、そもそも紫色のジャージは見た事がない。
友達に訊いても
「手を振っていた人なんていないっしょ!紫色のジャージ?先輩か後輩にもらったんじゃない?」
と言うので、僕もそうなのかとそれ以上は気には止めなかった。
それからまた学園祭の準備も放ってバスケを再開し、夜10時頃を迎えた頃。担任教師の提案で肝試しをすることとなった。
クジ引きをして女子とペアを組み、校内の4階にある音楽室に行き指定されたものを持ってくるというルールで、男連中はもちろん意中の女子とペアを組みたい!と願ってクジを引く。
僕は残念ながらマイケルジャクソンというあだ名の女の子とペアを組むことに…。
もはや高校ともなると肝試しも何のその、音楽室に向かう間には担任教師が隠れて驚かす仕組みとなっていたが、そこは舌打ちで乗り切り音楽室の指定された物を持って、体育館へ戻る。
全ペアの肝試しが終了し、その後はクラスメート全員で怖い話をする流れとなり、各々が怖かった体験談を話していた時であった。
あるクラスメートがふと、体育館近くのトイレが施錠されてる理由を担任教師に尋ねた。
僕が入学する何年か前にそのトイレが施錠された事は、先輩を通して聞いていたが理由までは知らなかった。
質問された担任教師はあきらかに困惑した表情をしたが、少し黙った後口を開いた。
「実はあのトイレで命を絶った男の子がいたんだ。
在校生ではなかったんだが、近辺の中学野球部の子で家が近く、夜に忍び込んでトイレで命を絶ったらしい。
そんなこともあって、可哀想だけど今はあのトイレは使用できないように施錠してるんだよ。」
僕は鳥肌が止まらなくなった。
何となくだが、さっき手を振っていた紫色のジャージを着た男子がそれなんじゃないか…そう思ったからだ。
それから何年か経って知ったが、僕より5歳ほど上の男子が中学でイジメられ、さらには僕の通っていた高校の受験に落ちたことを理由に、あのトイレで亡くなったというのが内容だったらしい。
ちょうど僕には5歳離れた兄がいたのでジャージの色を訊いてみると、その時代のその中学校の指定は紫色だった…。
僕に手を振ったのがその男子だったのか定かではありませんが、辛い学生時代を過ごしたその子も私達と一緒に遊びたかったのでしょか?
以上、私の体験した怖い話でした。