420 本当にあった怖い名無し sage 2008/07/29(火) 01:00:59 ID:nVCAevGX0
知り合いから聞いた話。その知り合いもまた聞きらしいから、本当なのか作り話なのかはよくわからん。
AとBは夜遅く、2時くらいらしいんだけど男二人連れでコンビニに買い物をしに出かけた。
ダベりながら一本道をあるいていると向こうの方にT字路が見えてきて、右側から話声が聞こえる。
どうやら男女のようだ。突き当たりまで50mくらいまできて、そろそろ向こうも姿を現すんじゃないか、
どんな二人組なんだと道の角を見ていると、女が一人だけで歩いてきた。
あれ?一人だったのかな?男の声もしたよなぁ?なんてヒソヒソやりながらまた歩きだした。
暗くて女の顔はよく見えない。もうちょっとよく見てやろうとわざとこちらの歩く速度を落とした。
一人で歩いていた女がちょうど二人の正面30mくらいまできたその時、女がきた方向からもの凄いスピードで車がでてきた。
「あ」
と思う間もなく、全く躊躇もなく、その車は女をはね飛ばすと逆側の角へ消えていった。
高々と舞い上がった女が街頭のすぐそばまできた時、二人は初めて女の顔を見た。
どうってことのない、普通の顔をした普通の服装の女だったが、街頭に照らし出されたその顔は
無念とも、無表情ともつかないなんともいえない表情で、しかもこれまた凄いスピードで下に落ちていったので
最後までその表情の意図するところは読み取れなかった。
421 本当にあった怖い名無し sage 2008/07/29(火) 01:17:43 ID:LK/FXr/80
二人して唖然としながらその様子を見ていると、女は「グシャ」という音と共に地面に叩き付けられた。そしてピクリとも動かない。
ハタと我に帰り、「大変だ。こりゃ事故だ」と女に駆け寄ろうとした瞬間、車が走り去っていった方向の角から今度は男が凄い勢いで走りながら現れた。
「……………………!!!」
男は何事かを叫びながら女に馬乗りになり、髪を掴んで顔を起こすと一心不乱に空いてる方の拳でその顔を殴りはじめた。
男が拳をふりおろす度にその音が道に響き渡る。
「ぐしゃ」「ぐちゃ」「ぐしゃ」「ぐちゃ」
人間を殴って、あんな音はしない。男が殴っているのは、もはや「人間」ではない。
二人とも足がすくんでしまい、動くこともできずにただただその光景を見ていると、ふと男の手が止まり、そしてこちらに顔を向けた。
「…なんなんだよ、お前ら」
422 本当にあった怖い名無し sage 2008/07/29(火) 01:40:38 ID:lLwS6J9M0
普通に考えればこっちは男二人、向こうは一人。やろうと思えば取り押さえることだってできる。
しかしそのあまりの光景にAは足がガタガタ震え、Bにいたっては道の上にヘタりこんでしまっていた。
「…なに見てんだよ…」
男は立ち上がり、こちらに向かって歩きはじめた。段々と歩みは速くなり、まさにAに掴みかからんとしたその時。
Bが「あっ」と声をあげた。つられて男もAもBの目線の先を振り返る。
女が、上半身だけ、起き上がっていた。そして顔を空に向けると
「あああぁぁううがぁぁぁぃぃああああぅぅぅぅあああああ!!!」
と、叫んだ。吠える、という方が適切だったかもしれない。
「あがぁぁうぁぁいぃぃぃ………」
最後は消え入るような声になると、また「ずちゃっ」という音と共に倒れた。
それを聞いた男はその場に突っ伏し、「許してくれ、許してくれ、許してくれ…」と言いながら失禁し、ダラダラと泣きはじめた。
二人はこれ幸いとゆっくりと男から距離を取り、携帯で警察を呼んだ。パトカーがくるのにはものの5分とかからなかった。
424 本当にあった怖い名無し sage 2008/07/29(火) 01:57:20 ID:0yXc6SN/0
一部始終を見ていた二人も当然のように署に連れていかれた。部屋でしばらく休まされていると、一人の警察官が部屋に入ってきた。
「大変だったねえ」
「ええ」
「痴情のもつれだったようだ。犯人の男も自分が何をしたのかよく覚えていないらしい」
「本当に大変でしたよ。あの女の人が大声をあげてくれなければ私達もどうなったことか」
「大声?そりゃおかしいな」
「え?」
「被害者は、最初の車の一撃で即死状態だったよ」
「そんな」
「どういう当たり方をしたのからはこれから調べるが、最初の衝突で頭の半分は原形もなく損壊してる」
「…」
「まあ、ハネた後も随分と酷いことをしたようだけどいくら自分を見失っていたとはいえ人の手だけでああはならないよ」
そんな…。じゃあ街灯にうつしだされたあの顔は?そしてあの声は…?!
二人は結局コンビニに行くこともなく、部屋に戻って朝まで二人でよりそって寝たそうだ。