結構前にあった話なんだけども、その日いつものように仕事が終わって夕方(6時過ぎくらい)家に帰ってきた。
いつものように居間に入ると、そこでお袋が部屋の電気も付けずに耳塞いで暗い部屋の中でうずくまってたんだ。
かなり面食らった私。
だってこんな様子のお袋見るのは初めてだったんで、何かあったと焦ってお袋の側に駆けよって声をかけたんだ。
「ちょっと、お袋!なにかあったの?どうしたの部屋も明かりもつけないで?」
お袋は、いきなり声をかけたんでかなりビックリした様子だったけど、私の顔を見て安心したのか
「なんだ○○かぁ、ビックリさせないでよぉ」とか宣った。
いやビックリしたのはこっちだし。
暗い部屋の中で電気も付けずに耳塞いでうずくまってた人間の言うことか?
なんてちょっと呆れかけてたんだけども、この後、お袋が妙な事を聞いてきた。
「ていうか○○、おまえ、どこから家に上がってきたの?」どこから家に?
なんとも妙な問いかけに半ば呆れながら
「あのさ、お袋。どこから家にってそりゃ玄関からにきまってんだろ。
つかさ、どこから帰ってきたとおもって、、、」
そう言い終わらないうちに、その玄関からコンコンとガラスをノックする音が聞こえてきた。
「あれ、誰か来たかな?」私は誰が来たのか確認しようと玄関のほうを覗きみようとしたんだけど、お袋が焦った様子で止めてきた。
「また来た、、、さっきのあれだ絶対、、、」
さっきのあれ?私はなんのことだかさっぱりだったんだけども、帰ってきたときのお袋の様子と「さっきのあれだ」ってのは関連してると思った。
「ねぇ、帰って来たとき凄く様子がおかしかったけど、そのさっきのあれって奴が原因なの?」
この問いかけにお袋は黙って頷き
「あれがね、ずっと玄関をノックしてるの、あんたが帰ってくる少し前から。
お母さん、それが怖くて怖くてたまらなかったの、だからずっと耳塞いで、それが居なくなるの待ってたんだけど、そうしてるうちにあんたが帰って来たのよ、玄関から」
お袋の顔が青ざめている、
ちょっと尋常じゃないなと思った。
「あれって、なに?見たんでしょ」
お袋は顔を下に背けてる。思い出したくもないって様子だった。
この間も、まだ玄関からコンコンというノックの音は続いてる。
このままじゃ埒があかないと思い
「ちょっと見てくるよ、さっきのあれとは違うかもしれないし、宅配とか近所の人が来てたら困るでしょ」
そう私が言うと、
お袋が「駄目だって!行かない方がいい、絶対後悔するから」
といって掴んだ腕を離してくれない。
「大丈夫だって、なにかヤバイもんとかだったら、玄関開けたりしないし、ただ見てくるだけだから」
お袋が掴んでる腕を強引に振り払って私は玄関に向かった。
うちの玄関は曇り硝子が張ってある引き戸なんで、玄関を開けなくても外にどんな奴がいるのかはある程度わかる。
私は玄関まで行き、そのノックしてる奴がどういった奴なのか、その曇り硝子越しに見た。
たぶんお袋も来客だと思って玄関まで行き、これを見たんだろうね、玄関に立つ赤い人影を。
最初見たときは、そんなに違和感とか変なモノって感じはしなかった。
だってただの人影だったんだもん、背丈はたぶん小学生とかそれくらいだったかなぁ、赤いってことを除けばね。
だからただの来客だと思って玄関を開けようと、ほんと硝子一枚のとこまで近づいたんだわ。
そのときノックする手が硝子越しに良くみえたんだよね。真っ赤な人の手がさぁ。
ほんとに真っ赤だった、赤い手袋とかでなくて、真っ赤な素手。
このとき「あ、これは人じゃないな」ってやっと気づいたのよ。
ただ、もう気づいた時は遅かったんだよねぇ、だって玄関開けようと近づいてるわけじゃない、だから向こうにも見えちゃったんだよね、、、私が。
近づいてる私の存在に気づいたそれは、この後、もの凄い勢いで玄関をノックしだしたんだわ。
コンコン、コンコンコン、コンコンコンコンコンコン、コンコンゴンゴンゴンゴンゴン、
ガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャン。
ほんと凄かった、もうね玄関の硝子が割れるんじゃないかってくらいの勢いで叩き続けてる。
ほんとはすぐに逃げ出したかったんだけどねぇ、、、
動けなかった、怖くてさぁ、だって真っ赤な人影が凄い勢いで玄関叩いてるんだよ
ガシャンガシャンガシャンガシャンって、
あれにはマジでビビって足が竦んじゃったよ、いい大人なのにね。
だけどずっとその場には居られない、だって怖いもん。
だからなんとか気を張ってその場から離れようとした、ただこいうときって不思議と駆け出せないんだねぇ、たぶん相手に気づかれないように(すでに気づかれてますがw)って考えが働くからなんだろうけど、ゆっくりゆっくりと後ろに下がっていったんだわ。
すると人影にちょっとした変化があった。
最初見たときとは違ってなんか背が高くなっているような気がする、けどもノックをする腕はさっきの位置とは変わってない。
背が高くなってるんではなくて伸びてるんだよね、頭がさ。
首が伸びてるんではなくて、ほんとに頭だけが上に向かって伸びていってる、そんな感じがした。
そしてその伸びた頭は徐々に玄関の上にある小窓に近づいていってるんだけども、この小窓って奴が運が悪いことに明かりを入れる為の窓なもんだから、曇り硝子ではないんだよね、、、、、
だから、その小窓に近づいてるのがわかった段階で人影から目を反らすべきだったんだよね、本当はさ、、、
だけども、、、目が反らせなかった怖くて逆に目を反らせなかったんだよね。
そして見ちゃったんだよね、、、、真っ赤な人影の顔を、、、、
たぶん、、、小学校低学年くらいの子供だと思う、真っ赤な顔でさ、、、髪と眉はなかった。
印象的だったのはだらりと開けられた真っ黒な口と、カッと見開かれた目。
その目でさ、ギョロギョロと家の中を見てるんだよ。
もうそれ見たら限界だった、、、、いい大人が
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
って叫んで駆けだしてたよw
んで居間に逃げ込んで、お袋と一緒に耳塞いでガタガタ震えてた。
どんだけの時間、耳塞いでうずくまってたかわからないんだけど、いきなり「おい!どうした!!」って肩を掴まれて起こされた。
仕事から帰ってきた親父だった。
「親父かよ!!ビビらせんなよ!!」
「なにがビビらせんなだ!ビックリしたのはこっちだ、どうした二人して電気も付けずに部屋の中で!!」
いきなり声をかけられてビックリはしたが正直、帰ってきた親父の顔を見てほっとした。
そして思わず聞いてしまった。
「親父、いったいどこから家に上がってきたんだ?」と。
こういった体験だったんだけど、これが数年前の話、
で最近になって「新耳袋」とかでも似たような話が載ってたんだけどもこれって全国的に出没してるんかねぇ。