濡れが小学1年だったころの話ね。
今考えてみると夢だったのかもしれないんだけど、当時の濡れにはとても恐ろしくて、今でもけっこう正確に覚えてる。
小学1年時の7月の夜なんだけど、めずらしく突然目がさめたのね。
夜中の3時前くらいに。
小さいときからテレビの怪談モノとかそういうのは好きで、そういうのにも興味あったんだけど、もともとビビりな濡れは夜中に目がさめてしまっただけですごく怖くて、「何で目がさめたんだよ」と思ってた。
その当時は、父親と母親と妹と濡れの4人が12畳間にそれぞれの布団(両親は二人で)に寝ていて、当然濡れ以外の家族は寝ていた。
それを見てとりあえず安心し、もう一度眠ろうと思い目を閉じた。
しかし、目を閉じてまもなく声が聞こえたのだ。
「たすけて」みたいな女の声が。
濡れの家は国道に面して建っているが、夜は非常に車は少ない。
最近は近所にマンションが乱立してしまっていて、コンビニができたり、ファミレスができたりで夜だろうが、若者たちが夜毎さわがしいのだが、当時の夜は静かで、人なんてほとんどいなかったはずだ。
でも、そんな声が聞こえてしまい、濡れは完全に恐怖で目がさめてしまった。
しかも声は止まるわけでもなく、何度も何度も、庭のあるほうから
「たすけて」「たすけて」、と呼ぶのだ。
濡れの寝ていた部屋から障子を開くと廊下があってすぐその向こうが庭だったから声はとても近かった。
濡れはあまりの恐怖に目を閉じてじっとしていた。
耳をふさいでも声が聞こえるのでホントに怖かった。
でも、しばらくして声が消えた。
濡れはほっとして、少し落ち着き、とりあえず隣にいた父親の方を起こそうとしてみた。
仕事柄(ポリ公)泊まりの日も多く、緊急の際にも起きられる体になっているはずの父親だったが、なぜか起きてくれず、しかたなくそのむこうに同じ布団で寝ている母親のもとに近づこうと布団を出て、母親の方に近づこうとしたときだった。
父親と母親の顔の間にもうひとつ見知らぬ女の顔があり、笑ってこっちを見ていた。
濡れがそれの存在を確認すると同時に目が合い、
「たすけてよ」、と言ってきた。
本気でビビったのを覚えているが濡れはそれから意識がなくて、気づいたときには布団の外で寝ていた。
いつもどおりの朝6時に目がさめていた。
とりあえずその時は「夢だ、夢だ」と思うことにした。
両親の間にいたとか言えないし。
しばらく夜中におびえながら寝てたんだけど、それからは何もなかった。
でも、あのときはホント死んだかと思った。
夢かもしんないんだけどね。
夢だとしてもリアルで怖かった。
長レスで申し訳ない。