ある小学校にA子という女の子が通っていた。
A子には親がいなかった。
そのことや容姿の悪さなどを馬鹿にされ酷いイジメを受けていた。
もともとおとなしい性格だったがイジメが始まってからは更に暗い性格になり、それこそクラス、生徒皆でいじめている様な状態で教師も知らぬ風だった。
そしてA子は自殺した。
学校の屋上から飛び降りて。
授業中に自分のクラスの窓の外を落ちていった。
イジメの主犯格の子は偶然、落ちていくA子と目が合ってしまった。
その時A子は目をひんむいてすごい顔で笑っていた。
A子の葬式にはいじめていた子達もそれを黙認していた教師もやってきた。
皆心の中にやましさを感じ、なんとなく居心地悪そうだった。
A子の葬式は本当に寂しい葬式で学校関係者と少しの親戚しか来ていなかった。
かわいそうに、A子が死んでも心から悲しんでいる人は誰もいなかったようだった。
それから2,3週間経ち学校も生徒もA子のことは誰も話さなくなった。
もともと性格の暗い子だったために忘れられるのも早かった。
そんなある日、授業中ある生徒が「ギャッッ」と悲鳴をあげた。
その生徒は教師に「A子が…A子が…」とうわ言の様に自分の見たものを伝え続けた。
教師はA子をいじめていたことに罪悪感を感じての事だろう、とあまり気にしなかったが、その後も同じような出来事が続き、終には信じざるを得なくなった。
教師も見てしまったのだ。
目をひんむいてすごい顔で落ちていくA子を。
教師は窓の外が見えないように外から板を打ち付けた。
窓も開かないくらいぴったしと。
そのためこのクラスは昼間でも真っ暗になり陰気な雰囲気となった。
昼間から電気をつけなければならなかったが、生徒も教師もこれでA子を見ずに済むと安心した。
それからしばらくたったある日、皆が暗い教室にも慣れてきた頃、突然
『ガタン』
と外に打ち付けてある板がたわんだ。
皆ギョッとして一斉に窓のほうを見た。
教師も生徒もとんでもないものを見てしまった。
板と窓の間をすごい顔で落ちていくA子の姿を…