愛知県某市の里山に不思議な祠がある。
巨石の下に石膏像のようなものが飾られている物で、由来は誰も知らない。
祠までは舗装された農道から入る山道がある。
山道は舗装がされていないが車が入れるような道だ。
里山なのでそれほど勾配があるわけでもない。
祠の近くには小さなダムがあり池となっていた。
典型的なダムで作られた山池で、水深は深く生物の姿見えない。
周りは遊歩道としても整備されている。
ある時、この祠の存在を知った5人組大学生の若者グループが、ここで肝試しをすることを思い付いた。
夜に麓に車を停め、1人ずつそこから歩いて祠の場所まで行き、10円玉を1枚を祠に置いて帰ってくるだけ。
度胸試しみたいなノリだった。
そして新月で真っ暗闇夜に度胸試しが行われた。
皆が置いてきた10円玉が分かるように、1人1人の10円玉の製造年月日を控えた。
農道と山道の境界に車を停め、じゃんけんで行く順を決めると、1人ずつ懐中電灯を片手に行ってそして帰ってきた。
「幽霊より蚊がヤベえww」
「猪とかの方が危険。絶対いるでしょ」
「足元悪くてこけそうになったのが一番焦ったわw」
よりによって最後は少しビビりの青年だった。
暗闇が怖いだけと言う彼を送り出す。
今週のプロ野球の話をしていた残った4人は、車の場所を少し変えて帰ってくる彼にドッキリしかけようと思い立つ。
車を動かそうとしたときビビりの青年がつまずきながら走ってきた。
「もうきた!」
「逃げてきた?」
そう言ってビビり青年に聞くと、祠まで行って10円玉を置こうとした時、誰かの鼻歌のような声がどこからか聞こえてきて逃げたらしい。
「蚊の羽音?」
「水の音ちゃう?」
「もしかして酔ってる?」
とあまり取り合わない4人。
そこで5人全員で祠まで行くことにした。
祠までは何もなし。
祠に着いて、ビビり青年がこの辺りで聞いたと話しかけた時、4人は気付いてしまった。
置いたはずの10円玉が無くなっていることを。
その事を誰かが声に出そうとしたその時、背後の山池の方からピチャンピチャンピチャンピチャンと池に勢いよく何かを投げ込んだような音が聞こえた。
急に恐怖を感じた4人は車へと駆け出した。
ビビりの青年も何が分からなかったが一緒に走って逃げた。
こうして彼らは無事帰れたものの、彼ら以外にあそこに一体何が居たのかは不明なままだった。