鳴り止まない電話

鳴り止まない電話 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

不思議なことってあるんですねぇ。
GWをずらして少し観光客が減った頃に会社の保養所がある箱根の温泉に行ったんですよ。
昔、別荘として使っていた親会社社長が経営危機でうちの会社に手渡したらしいんですが、古いけどお風呂なんか結構広くて女3人ではちょっともったいない気分・・・
着いた日はもう夕方だったので早めに食事を済ませワインを飲みながらくつろいでいました。

10時を少し回った頃でしょうか。
1階の玄関付近にある電話が鳴り出したんです。
私たちは誰だろう?っと顔を見合わせ、誰が受話器をとりに行く?って心の中でちょっと笑ってました。
私は

「ほっとこうよ、どうせ会社の営業の誰かが明日会社に出て欲しいとかってやつだったら嫌だからさぁ」
「そうだねそうだね」
って他の二人もうなずいて笑っていました。

ところが30回以上なっても一向に電話のベルの音は止まりません。

まるで私たちが出るまで切らないようにしているみたい。
さすがに100以上鳴ったんではないかって頃に知り合いなら携帯にかけて来るはずだけど電波が悪いからかも・・・
何かあったのかなぁってちょっと不安になったので3人で下へ降りて恐る恐る受話器を取りました。

少しびびりながらR子がもしもしっと言いました。
少し困った顔でもしもし?首をかしげながらH美に受話器を差し出しました。
H美がもしもしと言っても無言のようです。
私が受話器を奪い取り少し恋を荒げて

「誰なんですかぁ?」

と言って三人で受話器のそばに耳を傾けると
微かに「スーッハー」と寝息のような感じのものが聞こえるような・・・
R子は「いたずらだよこれっ」と言って電話を切りました。
またかかってきたら嫌だね元栓抜いちゃおうってみんなでその晩は何事もなく寝ました。

次の日も箱根をドライブし昨日のことなんてすっかり忘れて2日後のお昼過ぎには帰路に着いていました。
車の中では電話の元栓そのままだぁまあいいっかぁってな感じでした(笑)
私の車だったのでみんなを送っていく予定でしたが、早く写真が見たいと言うこともあったし時間も早かったので家の傍の写真屋さんにフィルムを預け二人は私の家でお茶でもして休んでいくことになりました。

部屋に入って楽しかったねまた行こうねなんてホッとしているとお湯を沸かしている私にH美が

「ねぇー留守電ピカピカやってるよぉー、聞いてもいーいー?」

ってちょっと怪しげな言い方でタバコに火をつけました。
R子も聞いちゃおうっと茶化してきたので、一瞬、しつこい男からの愛のメッセージかもしれない!?と思いましたが

「いいよー、多分笑えるから聞いてみてよぉ」

とティーパック片手に戻った瞬間R子が『ピッ!』っと留守電の再生ボタンを押しました。

「・・・・・・・・もしもし・・・もしもし?・・・
もしもし・・・・・・もしもし・・・・
誰なんですかぁ?・・・・・プーップーッ・・・」

私たちは状況を理解するまで顔を見合わせ時間がかかりました。

キャ~!

二人は青白い顔と言うより白に近い顔色になりました。
私も震えが止まらず・・・・
なぜ、私たちの声が留守電に・・・・・

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