別に怖くはないんですが…。
いくつかあった不思議な体験のうちの一つです。
自分の通ってた保育園のふもとにあまり大きくない池があります。
その池(ちなみに天然記念物に認定されてるとか)の遊歩道から保育園に通うのです。
その保育園の側には神社や公園があり、保育園を卒園して小学生になってからも、その池の周辺でよく遊んでいました。
小学校が終わった後は暇なもんでよく、探検だぁ!…と、あちこち彷徨ってました。
変な洞穴見つけてみたり、基地を作ってみたりと、田舎のガキンチョ遊びを日々堪能していたのを覚えてます。
まともなところで遊ぶのも飽き、大人が行ってはいけないというようなところにも、ズンドコズンドコ侵入していくようになり、そしてその現場に着きました。
池の遊歩道の、のり面(がけのほう)を生えている木を掴んで登り、その頂上からしばらく歩いた所になかなか大きい針葉樹の木(申し訳ない、何の木か分からない)があって、その横に手作り、とゆうかなんか夏休みの工作の方がまだマシ、そんな祠がちょこんとありました。
ロウソクの立てた跡とかなければ、ただの観音開きの木箱にしか見えなかったと思います。
祠は別に不自然な点はなく(今思えば、あんな行くのがムチャクチャ大変なとこに祠があること事態が不自然ですが)ぼろいなぁ、とかそのくらいの感想しか覚えてないです。
問題は木の方でした。
表面のあちこちに釘が刺さっているのです。
木全体が、なんかマンガや絵本で描かれるような鬼の棒みたいな感じで、子供心に不気味さを感じたのを覚えてます。
しかし好奇心から釘を触ってみると、ボロボロとくずれていき、かなり前の物だというのが分かります。
釘を触りながら木の裏側に周ってみると、ボロボロの釘に刺された状態の、『真っ黒な藁人形』がありました。
正確には藁人形ではないんです。
なんか、髪の毛か動物の黒い部分の毛を使ったもの出来ているようでした。
藁人形(髪人形?)と理解した瞬間、戦慄が走ったのをあれから二十年近く経った今でも、鮮明に覚えてます。
木の全体をよく見ると、無数のボロボロの釘に黒い毛がうすく付いており(不思議と正面の方には全く付いてないのだが)何回も何回もここで、釘打ちが行われてたことが分かります。
マッハの速度で逃げました。
凄まじいまでの恐怖感のため、半泣きのまま全力疾走しました。
転がるように家に帰りつき、ちょうどそこにいた母親に見たままの光景をそのまま伝えました(ムチャクチャ泣いてたんで、実際は自分が言っていることが、なかなか分からなかったと思いますが)
しかし
「そんなところもあったのねぇ」と、軽く返され、大したことじゃないんだなと子供心に納得してしまいました。
そして、そのまま10年以上が過ぎました。
で、10年以上過ぎてから、たまたま話す機会が出来たのです。
その年の春、毎年あるお祭りがあり、母方の実家の方にたまたま行くことになりました。
親戚一同の集まる本家なので結構な人がおり、出してある料理を食べていました。
で、ほんとに珍しく自分と年の近いイトコ達がほとんど勢揃いしました。
元気だった?等、いろいろ話してるうちに、懐しい昔の話しになり、木と釘と『黒い藁人形』の話しをしました。
思ったより盛り上がりが良く、行ってみたい見てみたいとみんなが口々に言い出しました。
本来なら、自分が現場に案内してやらなきゃならないんでしょうが、ちょっと前にイヤなことがあったので(タケヤロウというのを調べててって、この話しはまた今度)場所だけ行きたいやつに教えてやったのです。
自分は結局行かなかったので、行ったやつからくわしく聞いたところ、まだあるとのこと。
木はもちろん、釘も『黒い藁人形』も。
しかも、そんなに古くない釘と『黒い藁人形』があったと言っていました。
多分、今でもまだ『黒い藁人形』はあると思います。
誰が作り、何の為にその場所で釘を打つのか、いつからその場にあるのか、自分達以外にこの事実を知ってる人がいるのか、今だに何も分かっていません。
つまらなく、オチもない話しを長々と失礼しました。
これで、終わります。