コンビニでの話

コンビニでの話 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

まず、起ったのは一昨年の十月二十日、俺が深夜、駅前のファミマでシフト二人バイトしてた時だった。
3時遅くから4時過ぎくらい、同僚(男)が裏のストックに回っていた。
俺は尿意を覚えて、客がいないのをいい事にレジ近くのトイレに入った。
そして前掛けをずらした瞬間、急に眠気が襲いかかってきて俺は思わずその場にへなへなと崩れしゃがんだ。
立ちくらみというより眠気って感じだった、頭が甘くなる感じ。
俺は違和感を覚えながらもすぐに起き上がって、小便してすぐに店に出た。

すると、カウンターの中に変なおっさん?が立ってた。
俺には気づいてなかったのか、明後日の方を見てたはず。
髪は長くちじれた典型的なホームレスヘアー、服装は全体的に青っぽい、そして何より物凄く臭かった。
ゴミ捨て場の臭いというか、とにかく吐き気が酷かった
見た瞬間こそびびったが、俺は絶対にホームレスが入り込んだんだと思って

「やめろや!」

と大声で怒鳴ってやった。
そしたらまた眠気がふらっと来て、次気付いたら床にうつ伏せだった。
訳分からないまま起き上がると誰も居なかった。
俺はこれだけでもかなりショック状態になって、とにかく同僚呼びながらストックまで走っていった。
幽霊というより犯罪者とかの方に怯えてた。

除き窓が暗かったのは気になったが、俺は夢中で飛び込んだ、するとほとんど真っ暗闇、物音もしない、足許がぐにぐにと気持ち悪い。
ぐにぐにというが、田んぼとかぬかるみとかの感覚じゃない。
もっと柔らかい感じだった。

俺はわめきながら即座に逃げ出して、今度は逆奥の休憩室の扉を開けた。
そしたら変なおばさんが床に直に座ってて、その目が合ったんだ。
全体的に濃い化粧で、とにかく目というかアイラインが異様に大きかった。
俺が半泣きになって

「誰やねん!」

と叫ぶと、そいつはのっそり立ち上がろうとした。
その瞬間汗がぶわっと出て、ぞくぞくぞくと肌が引きつった(と思う)。
もう正体探るとか追い出すという発想はなくなって、俺はダッシュで店内に戻った。

扉を体で開けて、レジの方をちらっと見ると同僚と店長(女)と本部の社員(男)が話してた。
声とかはもやもやしてよく聞き取れなかった。
俺はほっとなって、腕ふりながら駆け寄っていった。
声は恐怖からか引きつって出なかった。

三人は俺に全然気付いていないようだった、足も異様にもつれたんだが、とにかくカウンターまで辿り着いた。
そしてその時、何で店長とマネージャーがここにいるんだろうとふと思った。
その瞬間、マジで一瞬だった、すっと三人の姿が全然跡形なく消えた。
背景が急に見えるようになったのかと感じさえした。

頭の中は当然大パニック、「えっ?」って感じ。
夢とか思うところまで頭が回らない。
本当に、何かが理由なく見えなくなるってのは驚きを通り越して苦痛。
頭の中が滅茶苦茶になったまま、ダッシュでコンビニ入り口から脱出、よく分からん間に駅前のロータリーをとぼとぼと歩いてた。

ふっと正気に戻って出てきたコンビニ振り返ると、まず、何と言うか、青かった。
それで怯えて後ずさりしながらも良く見てみると、入り口前で同僚が手招きしてる。
どこから見ても同僚だったが、俺は映画の主人公みたいな気持ちになってたから、

「行ったら絶対やばいパターンだ」

と思ってそのまま前向いて逃げた。
この辺りが今一はっきりしないんだが、逃げてく先に光?が見えたから、別のコンビニだと思って逃げ込んだ。
(実際にはそんな所にコンビニは無いし、俺もわかってたはずなんだが)

入った途端耳鳴りが響いたが、耐えながらも中に入ると誰もいないというかそれ以上に、立体感とか線の強さが完全に狂ってた。
これは鮮明すぎたとしか言えない。
しかも

「自動ドアくぐったっけ?」

と思って、もう完全にやばいと気付いた。
瞬間、俺は

「あああ」

とかうめきながらよろよろと外へ出た。
出た瞬間、光が消えて、目の前に最初のコンビニがあった。
心臓飛びすぎてマジで死ぬかと思った。
完全に腰抜けてしまう。

走ろうにも走れないから四つんばいになって犬みたいにダッシュで逃げた。
途中で数台のタクシーとすれ違ったんだが(これはいつもの事)怖くてそのまま逃げ去った。
携帯電話使うとか考えもしなかった。

そのまま腰いてえと思いながら走って走って、大分きただろと思ってガード下の前で俺は地面に座って休んだ。
手が焼けつくようにいたんで、血が出てた。

とりあえずズボンで拭いて、汗を袖でぬぐった。
一息ほっとつく。

ふと、今何時だろうと思い、携帯を思い出して、俺が出そうと(多分前掛けのポケット)
するとぶるぶるぶるぶると震え出した。
俺は完全にたまげたが、電話の着信だと気付いて即効で出た。
そうすると同僚の声がもごもごと聞こえて来る。

「はよ???(何とか)」

悲鳴を上げながらすぐ切った。
もうそれが本物とかどうでもよく、ひたすら大げさでなく命が惜しいとかそういう感覚だった。
そのままずっと歩いていって散歩人やおっさん達にびびりながら、朝を待った。
何故か自動販売機は怖い感じがして使えなかった。

逆側の駅に着いたころには人通りも多くなって、逃げ切ったと安心した。
その後は近くの友達に押しかけて眠らせてもらった。

起きたら友達が

「携帯めっちゃ鳴ってた」

っていうからびびりながら履歴見ると同僚と店長からで悶絶しそうだった。
また鳴り出すから、友達に出てもらったら「職務放棄するなDQN」みたいな感じすぐ代わって、「やめます」って言ってやった。
元々店長嫌いだったしさ。
その後もごだごだがあったが、怖い話とは関係のない部分。
とにかくもうそのコンビニや同僚たちと係わり合いにならなかった

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