足蹴にしたら

足蹴にしたら 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

私の元彼の話。
元彼関連の話だけで割とあるからその中でもやばいなって感じたうちのひとつ。

私と元彼は中距離(遠距離という程遠くもない)で付き合ってたのね。
んで久しぶりに会って、昼間は軽くデートらしき事してからとある店の駐車場で日暮れまでそいつの車の中で話してたら、会話の最中からちょっと元彼の様子がおかしかった。
なんかとある一箇所を気にしつつもそちらに絶対に視線を向けようとしない。
さすがに変だと思って声掛けた。

私「どうした?」
元彼「いや、気の所為かもしれんけど……俺の右上(フロントガラスの運転席側の端)辺りになんかいる気がして……。
あと右足掴まれてるような気がする……。」

ふっと見てみたら、気配だけだけど明らかに車内になんかいる。
で、そこら辺から妙に冷気が漂ってた。夏なのに。
ちなみに私は見えない聞こえないけど気配はわかるタイプ。
比較的心霊体験にあってきたから対処は慣れてる。
だが元彼はビビり。
基本的には鈍感で明らかにおかしいのつけてる気配がしても「最近肩凝るんだよね?」で済ますような奴。その都度対処はしてたけど。

そんな鈍感野郎にわかるように出てくる奴なんてビビらせる目的の雑魚or恐怖心をエサにするタイプのほっとくとヤベー奴の二択(だと個人的に思ってる)。
足元のは明らかにヤベー奴だなぁと思った。
前者ならぺいってすれば済むけど後者だとやばい事(事故とか)になるかもしれないなと思って私の母を呼んだ。
母も気配だけタイプだけど対処は経験豊富。
母が来るまではとりあえず元彼の手を掴みつつ車内の(女だなって思った)にガンつけて、あっち行けしっし!ってやってたら諦めたのか母が来る前に居なくなった。
多分後者のタイプだったけどビビらせ具合が足りなすぎてパワーなかったんじゃないかと推測してる。

そんなこんなしてるうちに母が来た。
かくしかで事情説明したら、ちょっと考える素振りしてから運転席のドア開けて元彼の右足を掴んで、ちょうどその真下になる場所を思いっきり踏みつけた。
後から聞いたけど、私のエサを取るんじゃねぇみたいな感じでグリグリ踏みつけてたらしい。
それでもしぶとくくっついてたのか、母が私にハンカチ寄越せって言った。
ハンカチ渡したら、元彼の右足をハンカチ越しに掴んでもう1回踏みつけてた。
私の持ち物使ってマーキングしたんだと思う。
それやって3分~5分くらい?やっと離れたらしくて母がやっと大丈夫判定出した。
足元の気配は消えてた。
感謝してる元彼に、ちょっと場所と時間が宜しくないから早く帰った方がいいと声掛けして、元彼は車で帰っていった。

で、残った私と母。母はハンカチに思いっきりふっ!と息を吹きかけてパンパンっと伸ばしてから私に返してきたけど、あちゃ?……(・ω・;)みたいな顔してた。

私「助かったわー。んでどうしたん?ハンカチやばい?」
母「……ハンカチは何ともないけども、私が踏んだ奴、ちょっと足蹴にしたらやばい格のやつだったっぽい。」
私「マジかよ。」

早く帰るぞって言われて母の車に乗ったけど背後からのよくわからない何かの気配がすごい。
家に帰るまでの間、後ろには車が一切ついてなかったのに何かに追いかけられてる気配がする。
ひとつ峠を超えなきゃ家には帰れないんだけど、その間2時間ちょい車の中ではずっと明るい音楽流しながら全然関係ない雑談ばっかりして背後の気配は気付かないふりをし続けた。
道中では普段はこんなに出ないのにってレベルで狐が出てきてた。
家に帰ってきて玄関を過ぎてリビングに入ってからやっと、背後の気配が消えた。
玄関に置いてた盛り塩と龍神様が彫られてる水晶のおかげだと思う。

やっと落ち着いたから詳しく話を聞いてみた(ここからほとんど母の推測)。
車内に居た女らしき奴は大したことない通りすがり。
けれども足を掴んでたのが、昔土地神のように信仰されてた存在で今は信仰をなくして力を失ってるものだろう。
信仰をなくして力もなくしたとはいえ元は神とされてた存在が足蹴にされた事に腹を立ててわざわざ自分のホーム外まで追いかけて来たんだろう、狐は多分その元神がお稲荷様だったからやたらと出てきてたんじゃないか、という事だった。

私はともかく、母は何故かお稲荷様と相性が悪い。
今まで飼って最後まで見とってた犬がたくさん母の守護についているというのを霊感持ちの人に言われたことがあるそうだが、それが原因だと思う。
お狐様と犬(正確には狼や犬神様)は相性が悪いらしいから。

その夜、少し不安になって枕元に氏神様の所の御守りを置いて寝た。
案の定、得体の知れない何かに追いかけられる夢を見た。
これはやばい!と思って○○様(氏神様の名前)助けて!って心の中で叫んだら、実家近くの氏神様の神社の鳥居が見えて慌てて駆け込んだ。
軽く一礼して、今夜一晩だけ境内にお邪魔させてください。
とお願いしたら、夢の中なのにぶわぁっと風が吹いて、ああ、許されたって思った。
次の日の朝はスッキリ目が覚めた。
母は特に変な夢は見なかったらしい。
夢の中とはいえお世話になったので氏神様の神社にはちゃんとお礼に行った。

母の推測が合ってるかは分からないし、追いかけてきたのが何かは分からないけど、今後その店は昼間以外では絶対に利用しないようにしようと決めた。

以上です。

特にオチらしきオチはないな?
長くて退屈だったらすんません( ´・ω・`)

ちなみにこれは完全に蛇足だけど……
元彼と別れる理由のひとつになったのが、神様や仏様への扱いの認識の差。
まぁ他にも価値観とか金銭感覚の違いとか色々あったけど……

元彼実家は農家でお稲荷様を信仰していたそう。
それを元彼両親の代でちゃんとした手順を踏まずに天照大御神に乗り換えた。理由は知らない。
けれども、神棚のある部屋は汚部屋。
更に元彼祖母の仏壇がある部屋は物置扱い。
あ、この家嫁ぐとか無理だな、と。

私の家は何故か女はダメンズを引っ掛ける上に男が絶える家系らしく、私の祖父(会った事ない)も叔母(母の姉)に金をたかり女に暴力を振るった後に孤独タヒ。
叔母の旦那は内弁慶の酒乱な上金遣いが荒く早タヒに。
叔父にあたる母の兄は20代で自タヒ。
私の父も内弁慶不潔DVクソ野郎で私が小学校上がる前に離婚。
まだ20代前半だけど一生独り身で生きていこうかと半分くらい決心固めました(笑)

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