中学一年の時、結構陰湿ないじめにあって、学校を休みたかったが親は休ませてくれず、嫌々学校へ行く途中、横からいじめをする一人が飛び出して来て、突然俺を突き飛ばした。
突き飛ばされてそのまま車道へ転倒、強い衝撃が来てそのまま意識を失った。
気がついたら、薄明るいトンネルの中みたいなところで、薄明るい光の道の上にいて、作業服のようなものを着たおっさんが、
「どうしてここにいるのかな?」
と聞いてきた。
同級生に道路に突き飛ばされて気がついたらここにいた、ということを動揺しながら伝えたら、
「それは大変なことになったね」
と、もの凄く優しい声で言われ、
「君はどうしたい?」
と聞かれた。
このとき状況から、自分が死んだか、死にかけているんだと思った。
ただ、それをおっさんに聞いたら、もう全部終わるような気がした。
で、自分を付き飛ばした同級生の名前を告げ、許せないからここに連れてきて欲しいと、そして俺は死にたくないから奴の命を俺にくれと言った。
おっさんびっくりした顔して、そのあと笑ったよ。
また真っ暗になって、目を覚ましたら病院のICU。
車道で車に牽かれて重体だったそうだ。
1ヶ月ICUで過ごし、普通病棟へ移って3ヶ月。
リハビリとか辛い思いも結構して、何とか退院。
その間、枕元に事情を聞きに来た警察にも、同級生の名前を告げ、そいつが車道に突き飛ばしたことを告げ、見舞いに来た教師にも告げた。
ただ今思えば、皆一様に顔が硬く変だった。
退院した日に聞かされたのは、その同級生は亡くなっていること、不思議にも夕立でできた水たまりで溺死するという、非常に不自然な死に方と、日頃の行状から、警察は殺人も疑ったらしい。
俺がICUで意識を取り戻した時刻頃が、奴の死亡時刻ということだった。
おっさんに感謝しつつ、俺は笑いが止まらなかった。