318では単なる思い出話を書いてしまって恐縮なので今度こそ。
とは言え大して恐くもないけど、体験した本人(俺)は本気で恐かったという話。
地元に、道内ではほんの少し有名な山菜スポットがある。
発条やら何やら、中でも筍が大量に採れる事で、地元の人間に人気が高い。
俺は自衛隊員の親父の趣味に影響されて、毎年シーズンになると、二人で連れ立って筍狩りに出向いていた。
その日は朝からの快晴もあってか、妙に気分が高揚していた。
親父は休日出勤と言う事で、今回は車での送り迎えだけを頼んだ。
早朝、道脇の入り口に到着。
親父に下山する時間を告げて山へ入る。
小さくなっていくカローラを眺め、意地悪く手を振ってやったりした。
本当に気分が良かった。
いつもの獣道に入る。
道には雑草が茂っていて、まだ今季は人がほとんど来ていない事がわかった。
こいつはチャンスだ。
生い茂る竹やぶを掻き分け、毎年お世話になってる群生地点に到着する。
程よく成長した筍が俺を待っていた。
案の定、ほとんど採られていない。
俺は背中を汗にじっとり湿らせながら、意気揚々と筍をリュックへ詰めて行いった。
どれほど経っただろうか。
気がつけば、既に下山予定の時刻を過ぎている。
気温が下がり、雲行きも怪しい。
日は既に傾きつつあった。
清涼な空気は何処へやら、どんよりと重たい閉塞感まで感じる始末。
木々のざわめきも無く、川のせせらぎだけが響く薄暗い山中というのは、すぐ近くに車の通りがあるとはいえ、中々に不気味なものだ。
不安すら感じた。
俺はリュックを背負いなおすと、なるべく急いで山を降り始めた。
背中に何故かほんのりと温もりを感じる。
その重量に確かな満足感を覚えて、幾分気が楽になった俺は、軽快な足取りで山を下った。
入り口に親父のカローラが停まっていた。
少し遅れた事もあって、申し訳なく思いながら手を挙げる。
親父も俺の方を確認して、クラクションを一回鳴らした。
と、唐突に親父がクラクションを3~4回叩いた。
呆気に取られていると、親父が転がるように車から飛び出て来た。
目をまん丸にに見開いて、俺の背中を指差して、
「お前、リュックどうした!」
俺は「はぁ?ここにあるだろ、ホラ」とリュックを降ろし、眼前に掲げた。
目の前に、狐の死骸がぶら下がっていた。
胴体が千切れかけ、赤黒い断面から骨が見え隠れしていた。
頭がひしゃげて――ここいらで限界。
思い出したら喉に熱い物が……。
つまり、筍狩りを切り上げて下山し始めた時から、約30分間。
俺はずっと、狐の腐乱死体を担ぎながら歩いていたらしい。
翌日行ってみると、リュックは筍がぎっしり詰まったまま放置されていた。
幽霊とかいった類いでも無し、聞いた人は大抵呆れ返るが、この体験は未だに俺のトラウマになっている。
なんだったのかね。ホント
∑(゚Д゚) 酸素欠乏症でリュックと取り違えたのか…?
344 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/04 19:12
山を降りることに必死だったら、臭いは気にならないと思うけど、どうやって担いでたのかが気になる。
346 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/04 19:51
>>344
肩口で前脚二本を抑える感じ?だったのかな?リュックしょってた感覚しか覚えてない。
筍は、次の日リュックを取りに行った時に回収して、炊き込み飯と天ぷらで食べました。
その時、たけのこから芋虫が出てきたことの方が、よっぽど恐かったかもですな。