すりガラス越しの足

すりガラス越しの足 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

これは私が子供のころに体験した話です。

私の家族は両親と兄と私、そして室内犬が1匹です。
その日は何かお祝い事があり、夜ご飯は父が作るステーキでした。
兄が外出していたので、帰ってきたらステーキを焼こうということになっていました。

私はリビングでテレビをみていましたが、しばらくすると飼っていた犬がワンワンと鳴きだしました。
だいたい犬が吠える時は誰かが来た時です。
リビングから廊下に出る扉はすりガラスがついており、私はふとそちらに目をむけました。
すると玄関の開く音がして、すりガラス越しに廊下を歩く姿が見えました。

私は兄が帰ってきたと思い、父に
「お兄ちゃん帰ってきたよ!ステーキステーキ!」
と呑気に話しかけていました。
父もご飯の準備を始め、ワクワクする気持ちで待っていましたが…兄が一向に現れません。

トイレか洗面所で手でも洗っているのかな?と思っていましたが、兄の姿は見当たりません。
兄の部屋にも見に行きましたが、どこにもいませんでした。
ステーキなのでお肉を焼くことにそこまで時間はかからないので、兄が不在のまま料理が出来上がってしまいました。

でも私は確かに、すりガラス越しに歩いて行く足を見ました。
だけどよく考えたら私がみたのは「足元」だけ。
いつもならすりガラス越しに体全体が映るのですが、膝くらいまでしか見てないなという事に、その時気づきました。
もしや見てはいけないものを見たのでは…と思った私は、家族を巻き込んで怖がらすことは出来ないと、兄が帰ってきたのは勘違いだったと父に言いました。
そうこうしているうちに兄が帰ってきたので、みんなで美味しく夜ごはんを食べました。

そして次の日の夜、もう眠ろうとしていた時に
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」
と母親が部屋へやってきました。
なんだろうと思っていると、母親は
「洗面所の鏡に絵でも描いた?」
と私に聞いてきました。

家の洗面所の鏡は、隣に併設されているお風呂場の湯気で曇ることがありました。
母親が言うには、その曇りを利用して指でなぞった様な絵が描かれていたというのです。
もちろん私は書いていません。

「私は書いてないけど…どんな絵なの?」
と母に聞くと、母親は
「着物を着た女の子の絵…」
と答えました。
私は昨日の足元の件もあり、言葉が出ませんでした。

母親はその絵に気づいてすぐに消したそうですが、どうしても足元と絵がつながっている出来事のように思えた私は、母親に昨日の事を話しました。
なぜなら玄関を入って目の前に洗面所があり、足元は洗面所の方に向かった様に感じていたからです。
私の話を聞いた母親は驚くことに
「実はお母さんもリビングに居る時、すりガラス越しに足だけを見た事がある…」
というのです。

そんな出来事があった数日後、テレビでたまたま「霊の通り道」という内容の怖い特集が放送されました。
霊能力者の方が言うには、玄関と裏の勝手口が一直線につながっている家は霊が通りやすいと話していて、私の家はまさに一直線なのです。
玄関と勝手口が真っすぐにつながっていて、勝手口の横に例の洗面所があります。
そのテレビを見ていた私と母親は、顔を見合わせて真っ青になりました。

後にも先にも私の怖い体験はこれ1回限りですが、2度と同じ経験はしたくありません。

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