あまり知恵をつけないほうがいい

あまり知恵をつけないほうがいい 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

七歳の時、五歳の弟と一緒に、親に七五三参りのために神仏習合?のとこへ連れていかれた。
参道を歩いてたら、金ピカ衣装のお坊さん?(あの恰好は神職ではないと思う)に、

「この子たちはあまり知恵をつけないほうがいいですよ」

と話しかけられた。

坊さんはわたしと弟の頭の少し上あたりをやぶニラミみたいにしてて、不意に頭をなでてきたかと思うと、北斗の拳の秘孔をつくみたいな感じで頭頂を指で叩き、何かをはらう仕草をした。

坊さんはまた

「勉強させないで伸び伸び育てて下さい」

と言い、親は

「どういうことですか?」

とか本気にしちゃって、わたしは不信感もって坊さんをにらんでたら、

「聞こえないところで話しましょう」

とどっか行ってしまった。

わたしと弟はその日から能力が弱くなって、その坊さん?をうらんでいる。

実はわたしも弟も局地的に雨ふらせたり、動物の言いたいことがわかったり、夜寝る前にお気に入りの絵本を枕元において、夢の中で本の世界で一緒に遊んだりとか、普通にできていた。

坊さんが余計なことをするまでは。

坊さんの言葉のせいか、一度も

「勉強しなさい」

と言われたことがない。

それどころか、高校受験が近づいた年の夏休みとか冬休みに、

「お母さんの知り合いのところでバイトできるから」

と中学なのに働きにいかされ、受験勉強の邪魔までされた。

貧しかったわけではないのに、

「大学なんかいくな」

と進学には絶対反対された。

大人になって一人暮らしするようになり、元凶の坊さんに文句を言おうかと思って調べたら、

「その人はついこの前亡くなりました」

と知らされた。

それから徐々に能力が戻りつつある。

でも、わたしたちは本当はどういう人生をおくるはずだったのか、なぜあんなことを言ってきたのか、永久に謎のままで釈然としない。

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