八年ほど前に、私の友人が体験した話です。
その友人は、霊だとかオカルトだとかの類を全く信じてない人でした。
その年の夏、何かの雑誌でたまたま私たちの地元のトンネルが心霊スポットとして掲載されたのですが、彼は盛り上がる友人たちを馬鹿馬鹿しい、そんな事あるはずない、いつも通ってるけど何もないと笑っていました。
確かに彼の言い分ももっともで、そのいわくつきのトンネルは、山にあった火葬場を潰して作られたのですが、そんな空気は微塵もなあ、きれいに舗装された交通量の多いものだったのです。
そんなある日、彼は車で買い物をした帰りにそこを通りがかったのですが、渋滞に巻き込まれ、そのトンネルの中で立往生してしまったそうです。
暑い盛りでしたから、窓は全開。
しかし、トンネル内の籠もった空気に耐え切れず、窓を閉めようとしました。
なのに何故か、助手席側の窓だけが20センチくらい開いたまま、どうしても閉まらない。
故障かな、と思っていたら後ろの車にクラクション、そしてハイビームを続け様に食らい、さらに後ろの車の運転席の人が、血相を変えて彼の元へ来て一言。
「ちょっと!あなた、助手席の人の首、窓に挟んでますよ!」
――もちろん彼は、助手席に誰も乗せてなどいませんでした……。
最近になって、ようやく話してくれた友人の体験談です。
長文乱文にお付き合いいただき、ありがとうございました。