ハンガーに掛けたジャージ

ハンガーに掛けたジャージ 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

真新しいアパートで夜背中を丸めて勉強をしていた。
スッスッスと何かを擦るような音が聞こえた、振り返ると家具と壁、ハンガーにかけてあったナイロン性のジャージ。
何だ~と思い勉強を続ける、またスッスッスと聞こえる。

振り返り何もない事を確認、眠くなったのでベットに入りすぐに眠りに着いた。
数時間たった時にまたスッスッスと音がして目が覚めた、うす暗闇の中部屋を見渡すとハンガーにかかっているジャージに違和感を覚える、ジャージの下のズボンの部分は折って上着はその上からかけてある。
ズボンの裾の部分から足の先が見えている、あわてて起き上がり布団をはね除けたらその足はサッと引っ込んだ。

見間違い?寝ぼけていた?と思いながら眠れぬまま朝を向かえた。
それから毎日同じ事が起きる、ジャージを別の場所に移すか捨ててしまう事も考えたが壁の中から足が出て来たらと思い出来なかった。
数週間は恐怖に怯えながら過ごしたが、こちらが気付くと消えてしまうと言う事に気付いた、何もしなかったら?気付かないフリをしていたらどうなるのか?
素朴な疑問が恐怖に勝ち試してみる事にした。

夜、やはりスッスッスと聞こえる、手鏡を用意し振り返る事も気にする素振りも見せずに後ろが見えるように角度を変えた。
裾から足が、上着の肩部分から顔が見えている、だんだん人間の形になっていくのを見続け、もう少しで全身がという時に言ってやった。
「見えてるよ」と、鏡の中で驚いた表情の男と目が合った。
それはパッと消えた、それから二度とあの音を聞く事は無い。

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