片方だけのサンダル

片方だけのサンダル 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

たまの連休に来る悪友からの誘いには、心のどこかで嫌な予感がしつつもついついOKしてしまいがちだ。
心霊スポットに行こうだなんて、退屈な休日を塗りつぶすには格好の材料として魅力的だと考えさせるには十分だったし。
参加するのは俺と悪友の勇次、それから勇次の彼女の愛理だった。

向かうは旧日本軍の軍事施設跡地で、主に人体実験を中心とした化学実験を行っていたとかなんとかそれはもうもっともらしい場所だった。
結構有名な場所だから知っている人も多いかもしれないが、その山の地下にその施設跡はあるって話だ。

俺らは学校を終えたその足でその場所へと車で向かった。
道中わくわくしながら騒いだもんだが、いざその山に着いてみると実際怖くなかったと言えばウソになる。

山はいつも不気味さを漂わせている。
・・・それはもちろんその日も例外じゃなかったが。

俺らは車を付近の駐車場に停め、歩いてその実験場跡に向かった。
思えばこの時からだったんじゃないかと思う、愛理の様子が・・・少し変だった。
上手くは言えないが、まるで夢を見ているような感じだったような気がする。

実験場跡地の近くまで来て、ぼそぼそと俺と勇次が立ち話をしていると彼女が突然
「ちょっと散歩にいってくる」
と、言い出した。

俺と勇次はトイレにでもいくのか?
と聞いたが曖昧な返事をしている彼女に、勇次が
「あんま遠くまではいくなよ」
と言って二人で彼女の後姿を眺めていた。

・・・それが、俺と勇次が見た愛理の最後の姿だった。

待てど暮らせど彼女が帰ってくることは無く、仕方なく二人で実験場に向かったその入り口に彼女のサンダルが片方だけ転がっているのを見た俺らが、必死に名前を叫びながらさがしたところで愛理が見つかることは無かった。

その後、警察の捜査が行われているが、彼女はまだ見つかっていない。
・・・って俺のバイト先の後輩が言ってた。

★この話の怖さはどうでした?
  • 全然怖くない
  • まぁまぁ怖い
  • 怖い
  • 超絶怖い!
  • 怖くないが面白い