コインロッカーの荷物

コインロッカーの荷物 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

訳の解らない事が起こりました。
長文になるが聞いてくれ。
意味の解る人いたら教えてほしい。

1人暮らしのアパートに来客があった。
息を切らせた女性で、室内に入れてくれと言う。
切羽詰った様子の「お願いします」に圧倒されて、部屋に入れてしまった。
水をくれというので、取り合えずソファに座らせて、何があったのか聞き出そうとしたが、「もう、大丈夫だから」と何も語ろうとしない。
見たところ、ハタチ前後のかなりの美人さん。

そのうちに彼女が、
「おそれいりますが、○○様に(俺の名ね)お願いがあるのですが」
と切り出した。
その古風な物言いと、(それまでも感じてはいたのだが)様付けで呼ばれたのが妙に気にかかった。

お願いと言うのは、JR大阪駅の(地下鉄で15ほどの距離)のコインロッカーの荷物を取ってきてほしい、と言うものだった。
どうしても自分で行くことができないのだと言う。
一緒について行くからと言ってもだめ。
行くことの出来ない理由を聞いても、「ご迷惑が掛かるので話せない」。

この時点で、犯罪がらみか電波系であろうと思い、近くに住む後輩(男です)を呼び出した。
見ず知らずの人間を部屋に置いて出かける気は無いので、後輩に大阪駅まで使いを頼もうと思ったのだ。
ところが彼女が「○○様にお願いしているのです」と、あくまで俺に行くよう要望する。

仕方なく、後輩にそれとなく注意するよう言って、(物取りのような気もしたので)大阪駅にむかい、荷物を取り出した。
紙の手提げ袋1個であるが、中を改めようとマクドに。(あ、東京ではマックな)
そこへ後輩から携帯電話が入る。
『彼女が目の前で消えた』と、パニック状態であった。
俺が出かけた後、彼女は何も喋らず、無表情のままじっと座ったままだったらしい。
何気に目を離した瞬間に消えたらしい。
透き通って消える瞬間を確かに見たと言う。
まあ、俺は半信半疑なわけだが、

ここからが、本題の不思議なこと。
手元にコインロッカーから引き上げた荷物が残ったわけだが、古い手紙が1枚。
『○○様(俺の名ね)ありがとうございました』で始まり、
日付と智恵子の署名。
日付は俺の誕生年月日。(ぞっとしました)
内容は簡単に書くと、『迷惑かけたので荷物はさしあげます』ってな内容。
油まみれの作業服の上下。
穿き古した女性用下着。早い話、染み付きパンティ。
172円入りの財布。
100円と50円は旧硬貨。ってか全部昭和30年代のコイン。
以上。
これって何だろうね。



パシリのお礼にショーツもらった290です。
俺も実は、後輩の「消えた」は信じていない。
2時間近く話した相手が人間じゃ無いとは思えない。
不埒な悪行に及ぼうとして逃げられた。あたりが正解かと。

しかしね、人間だとしても、俺としては疑問が残るのよ。
全員グルのいたずら説は、幽霊以上に現実味を感じないしな。
彼女の目的は何だったのか?
アイテムの意味は?
犯罪がらみでは無さそうなので、心配は電波の入った粘着ストーカーの線だな。

誤解があったかも知れないが、
年代を感じさせる物は、エッジが黄変した便箋と、同じく変色しかけたブルーインクで書かれた手紙と硬貨だけで、
作業服、ショーツは今のものだよ。
コインロッカーは1日延滞で通過料取られた。

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