会社の先輩が、タイへ旅行に行った時の話です。
先輩はよくタイへ遊びに行くらしいのですが、ツアーの内容だけでは物足りず、観光客が行かないような田舎町にも赴いては現地の人と仲良くなり、ますますタイの魅力に惹かれていったようでした。
タイ旅行を満喫した先輩は帰国後、早速撮り溜めた写真を現像し、アルバムに収めては、友達や会社の同僚らにタイのお土産話を聞かせるのも、もはや恒例となっていました。
その時も、いつものようにタイから帰国して日焼けした先輩のお土産話を聞かされる僕。
正直、飽きていました。すると
「こんな人、いたっけ?」
と先輩がぼそっと呟きました。
「どうしたんですか?」
と訊いてみると、
「この写真・・・俺一人で撮ったはずなんだけど」
見ると、田んぼをバックに笑顔で写る先輩。
その先輩の10メートルほど後ろに、現地の人と思われる女性が写っていました。
「誰も居ない所で撮ったはずなんだけどなあ」
その時は大して気にも留めず、アルバムは押し入れにしまったそうです。
それから半年後。
ふと思い出したようにあの時のアルバムを開き、その写真を見ました。
『あれ?こんなに近かったっけ?』
後ろに写り込んでいた女性が、先輩の5メートルくらい後ろに立っていたのです。
顔もうっすらと確認出来るほどの距離に。
さすがに気持ち悪がった先輩でしたが、その写真をまた押し入れにしまったそうです。
さらに半年後。
また思い出したように、押し入れからアルバムを引っ張り出しその写真を見た瞬間。
一気に血の気が引いたそうです。
先輩のすぐ真後ろに、その女性が立っていました。
顔もハッキリと確認出来たのですが、女性には目がありませんでした。
『ヤバいヤバい!これはヤバい!!』
先輩はすぐさまネットで霊媒師を探し、その写真を持って駆け込みました。
これまでの経緯を話し、その写真を霊媒師に見せました。
すると・・・霊媒師は青ざめた顔で言ったそうです。
「さっきからあなたの後ろに、その女が張り付いているのを気付いていますか?」