私が大学の夏休みを利用して、免許合宿へ行っていた時の話です。
免許合宿へ参加していた生徒のほとんどが同世代だったこともあり、わたしたちは毎晩遅くまでお喋りしたりするのが日課になっていました。
最初は自分の大学のことや生活のこと、芸能人のことを話して笑っていたのですが、ある夜に自分たちが体験した怖い出来事についての話題となりました。
私自身は怖い体験というのをしたことはありませんし、霊感の類も持ち合わせていないのだと思います。
そもそもそういった能力を持つ人は稀なのだと思います。
ですからその当時集まったメンバーでも、それほど怖い話を披露することはできませんでした。
その翌日。
実車で教習中の雑談で、担当教官に
「前日は怖い話をしていたのだけれど、怖くなかったんです~」
なんて話をしていると、その教官が実際に経験したという怖い話をしてくれました。
そして話を終えたあと
「この話を電話ですると、必ず電話が切れてしまうんだ…」
と付け加えました。
正直少し気持ち悪いなと思ったものの、それほど私は本気にしてはいませんでした。
無事に免許合宿を終えてから数年後。
両親の車を運転し、友人と共に遊園地まで行きました。
帰りはすっかり薄暗くなっていました。
時期はもう夏の終わりに近づいており、日が短くなってきたね~なんて話をしていると、急に友達が怖い話を始めたのです。
話を聞きながら、ふと以前に教習所の担当教官から聞いた話を思い出しました。
そこで私はその話を何気なく友人にしたのです。
それはこんな内容の話でした。
担当教官の姪っ子の年齢が20代前半くらいの時。
免許をとってすぐに近場の温泉地まで車を使って旅行に行ったのだそうです。
1泊2日の旅で女子3人。
沢山写真を撮って帰ってきたのですが、その中の1枚に不気味な物がうつっていました。
滝をバックに写真を撮った一枚。
女の子たちの足下に、1人分多く足が写っているように見えるのです。
ぼんやりとですがしっかり足だとわかるので、気味悪く思って担当教官はその写真を預かり、知り合いのバーへと持って行きました。
バーのオーナーと教官は気心が知れた中で、オーナーを経由して誰か相談に乗ってくれる人を紹介してもらおうと思ったそうです。
紹介して貰った人と連絡が取れて、バーで落ち合う約束をした教官は、その写真をそのままお店へ預けることにしました。
そして約束の日になり、久しぶりに写真を見た教官達は驚きます。
写真には薄気味悪い足の他に、滝に人の顔が浮かび上がっているように見えたそうです。
撮った写真が変化するなんて思いもしなかった教官は、背中に冷たい物が走ったと言います。
さらに紹介してくれた人は、写真を見るなり蒼い顔をして
「これは自分の力ではどうにもならない。さらに霊感の強い人を紹介する。
きっとその人なら、お祓いできる場所や方法を教えてくれるだろう。」
と言いました。
教官とバーの店長は少々戸惑いながらもどうすることもできず、また新たな約束の日まで写真をバーの棚の中に封印したのです。
その後写真をみた最後の日には、滝は真っ黒に変色し、薄気味悪い模様が水全体に広がっていたそうです。
預かっていたオーナーも写真を見て愕然としてしまうほど、不気味な写真へと変貌を遂げていました。
新たに紹介された霊感の強い人が言うには
「禍々しい気が写真の中で生きている。
時間はかかるかもしれないが、引き取ってしっかりとお祓いをします。」
と言い、きちんと供養してくれたそうです。
写真の変化を最初の状態から目の当たりした教官は、本当に心霊写真は存在するのだと怖くなってしまって、なるべく水のある旅行先での写真は撮らないようにしているのだそうです。
友人に車の中でこの話していると、3回目に写真を取り出したときの様子を口にした瞬間、少し調子の悪かったオーディオがブツリと音を立てて消えました。
私と友人はビックリして凍り付きました。
そしてこの話を電話ですると、必ず電話が切れてしまうという事を思い出しながら、全身の鳥肌がしばらくの間はおさまりませんでした。