比良山の夜

比良山の夜 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

比良山と言う、琵琶湖の西岸にある山。
(以前の記事で、比良山の幽霊飛行機のお話を書きましたが…)

中学の頃、お盆の時期に親父と二人で比良山に登り、山中の無人小屋で一泊しました。
年季の入った、木造の小屋です。
その時、一緒になった大学生の2人組と親父が焚き火を挟んで酒を飲む中、出た話です。

大学生の言うには、その無人小屋には女の幽霊が出るそうです。
心中に失敗し、女だけが死んだという事件があったそうで、その女の亡霊が出ると。
特に、若い男が単独で泊まると、出るそうです。

実際、山岳部の先輩がこんな体験をした、と大学生達は言っていました。
一人で比良山に入った先輩が、早寝の支度をしていると、不意に耐え難い腐臭が漂ってきて、
それと共に、明らかに人の気配を感じました。

小屋には自分一人。

これはマズイと堅く目を閉じ、子供の頃から持っている、おばあちゃんから貰ったお守りを握り締めて
じっとしていました。
気配は、自分の周りをゆっくりと廻ったり、様子を伺うように立ち止まったり…。
先輩が、恐怖と悪臭に耐えながら数分。
諦めたのか、ふっと気配は消え、悪臭も嘘の様に消えてしまったそうです。

―そんな話を聞いた私は、その夜は大いにビビって、トイレにも行けなかったものです。
試しに調べてみると、どうやら無人小屋は建て替えられて綺麗になったらしく、それと共に、女幽霊の噂も立ち消えになってしまった様です…。

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