ここで、小噺をひとつ。
八年前の夏の夜、テレビをつけると心霊ものの番組がやっていた。
ちょっと興味をそそられてそれを見ていると、そこに見慣れた景色がでてきた。
「あれ?これって隣町の○○峠じゃん」
そこはこの辺では有名な心霊スポットで、よく事故を起こして死者が出ている所だ。
俺はその番組を見続けた。
リポーターが必死そうな顔で
「この道の脇には、なんとも悲しげな首無し地蔵があります。
この像の悲しみがこのような事故を引き起こしているのかのも知れません。」
と語っている。
実はこの場所には、俺自身何度もいったことがあ。
数年前まで暴走族だった私達が集会の帰りによく通っている道である。
そして、私自身ここにはある思い出がある。
そして、この番組を見たことによりそれを鮮明に思い出した。
「これ、俺が蹴っ飛ばして取れちゃったんだよね~。」
そう。
それはまだ若かったころに、族同士の喧嘩の時にボコボコにやられた俺が、家に帰る途中に偶然見つけた地蔵だったのだ。
ふとそれに気づいた俺は近くにバイクを止め、おもむろにそれに近づいた。
それとの距離が一mくらいになった時「ヒュッ!」という音と共に蹴りが放たれた。
その直後に道路の反対側で「ゴッ!」という鈍い音がした。
「テメー、いっちょ前に首なんかつけてんじゃねーよ!」
そう言って、家に帰ってそのまま寝てしまった。
その後、というか今まで俺の体は健康だ。
そして、あの地蔵の謎は俺だけの秘密である。
また今夜も、「怪奇!首無し地蔵の恐怖」などと報道している。
おしまい♪
どうですか?息抜きレス。