10年くらい前に自分が体験した話です。
俺の乗ってた電車が人身事故を起こした。
先頭車両に居た俺は汽笛&急ブレーキにビックリして「なんだ!?」と思い運転室を覗いた。
そしたら農作業服姿の婆さんが線路の真ん中でうつぶせになってんの。
膝を抱えるようにして手は頭の上で合わせながら。
「やばい!」と思いながらもゆっくりと進む電車。
結局ブレーキは間に合わず「ガッコン」と路肩に乗り上げるような音がした。
そのまま数メートル進んでから電車は停まった。
おそらく婆さんは1両目の半分くらいのところまで巻き込まれただろう。
人身事故のアナウンス。
慌しくなる車内。
俺も落ち着かず辺りを見渡す。
すると、窓の外に人がいるのに気づいた。
黒いスーツ(喪服?)着た爺さん婆さんが10人くらいいてこっちを見てる。
「おいおい、ツレが轢かれとるがな!」と心の中でつっこんだが、なんかおかしい。
すげぇ田舎の単線なんで線路の周りは草ボーボー。
畑とたんぼが一面に広がってます。
そんな中にスーツ?
轢かれた婆さんは農作業服だし、ツレではないのか?など思っていたら、黒スーツ集団は何事もなかったかのよう回れ右して去っていきました。
道さえない緑の奥へ。
30分くらいして救助隊が駆けつけ、婆さんを車両の下から引きづり出すのに成功した。
翌日新聞を見たら小さく記事が載ってて、轢かれた婆さんは片足切断したけど命に別状はなかったとのこと。
婆さんの生命力に感服しつつ、やはりあの黒い集団が気にかかりました。
死神か?
あるいはすでに他界してた婆さんの知人か?
普通に生身の人間だったのか?
答えはいまだわからず。
ただあの異様な光景と血まみれの担架は今も忘れられません。