うぉいてヶ…

うぉいてヶ… 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

流れを変えてみるかと、俺がこの夏休みに体験した不思議な話でも投入してみますか。

二年ほど前にバイク板のとあるスレッドに影響されてオフロードバイクを買い、山の林道なんかをあちこち走っているのだが、今年はカミさんの実家の仙台へ帰るついでに自分は娘を乗せてバイクで仙台へGO!
カミさんと息子は新幹線でGO!

カミさんは仙台から北へ外れた小さな町の神社の娘で、神社の裏の山は結構大きくて地元の人間しか知らないような林道や渓流がある。
俺は朝、早起きして山中を縦横に走る林道をあっちこっちと走り回っていた。
ついでに義父さんの釣竿と仕掛けを借りて渓流でスレてない大岩魚を爆釣!
人数分釣って帰って朝の食卓に上らせていたので、カミさんも子供も大喜びだった。

三日目のこと、俺は釣竿を持ち午前四時に出発。
まだ入ったことの無い林道の入り口を見付け、喜んで走り出した。

入り口から5キロも入ったところで、道は行き止まりに。
しかしそこから斜面を降りると良い感じの渓相が見える。
木に掴まりながら降りていき、早速竿を入れるた。

この日はとりわけ調子良く、尺モノも混ぜながらバンバン上がる。
あまりにも調子が良いので夢中になりながら釣り上がっていたら、突然その場の雰囲気が一変した。
明らかに一瞬前とは全く違う雰囲気で、コロコロリーリー鳴いていた虫たちの声も聞こえなくなってしまい、俺も糸を垂らしたまま固まってしまった。
薄明るくなってきたとはいえ、木立の奥はまだ真っ暗で良く見えない。
脂汗を滲ませながら辺りを伺っていると、突然真後ろから声がした!

「うぉいてヶ…」

しゃがれた何とも言えない不気味な声…俺は振り向くことも出来ない。

「おいてぃけぃ…」

なんと言っているか解らない。

「おいてぃけいぃ…」

俺の反応が無いからか、声に怒気が篭ってきたようだった。
俺は必死に、「な、何て言っているかわからねえよ…」と搾り出した。

突然、腰の魚篭が毟り取られた。

「むおらってゆぅくぅずをお…」

しゃがれた声で言うと、それの気配が消えた。
俺はその場にしゃがみ込み、しばらくは動けなかった。

真っ青になって実家に戻った俺を見るなり、義父さんは険しい顔をして

「ヤツらに会っちまったか…」

と漏らした。

「今年は嫁取りの年だから獲物を沢山集めているのだな」

何がなんだか解らない俺を前に、義父さんと義母さんとカミさんはしたり顔で話をしている。

「お前さま、明日から山に入っちゃならねえ。大人しくしとれ」

義父さんにそう言われて、俺の夏休みは終わってしまった。orz

仙台から帰ってからカミさんを問い質すも、のらりくらりとかわされてしまい未だ真相は聞けず。
チクショー、ナンデコンナニ立場ガ弱エエンダヨ俺ッテヤシハ…。

以上、つい先日、俺が体験した話です。

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