古びた中華料理屋

古びた中華料理屋 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

そういえばひとつ思い出した話がある。
兄貴の嫁さんから聞いた話なのだが…

3年前、5人位である山にキャンプに行った。
キャンプ場の貸し自転車で観光名所をあっちこっち回っていたのだが、そろそろ日も暮れたのでキャンプ場に帰ろうということになった。

しかしキャンプに来てはしゃぎ過ぎたので、帰ろうとした時にはあたりが真っ暗になっていた。
全くのド田舎で、山奥のため、民家もなく人もいない。
街灯などももちろんなく、正に一寸先は闇でった。
懐中電灯など何か明かりになるものも持って来てなかった。

メンバーの中に一人、自転車にまともに乗れない運動音痴の子がいたため、その子のスピードに合わせて山を下っていた。
しかし2時間位下っても、ふもとが見えてこない。

それどころか民家の明かりも全くみえない。
真っ黒な空にはカラスの大群が、「ギャーギャー」と鳴いてる。
携帯はもちろん圏外。
メンバーはパニックになりそうになった。

とりあえず落ち着こうということで、兄貴の嫁さんは友人と二人で、偵察隊として、民家を見つけるために、先に行く事になった。

そこから40分位下った所にようやく民家(古びた中華料理屋)を発見!
二人はホッっとして涙が出そうになった。
中華屋は閉まってるけど明かりがついているので

「道を訊いてみよう」

いうことになって友人と2人、ガラス窓から中を覗き込んだところ…

店舗の奥の居間には大型のTVがある。
TVに写っているのは、赤い服を着た女の人のようなだが、全面にモザイクがかかっていた。

その女の人は、静止画のようで、全く動くことがない。
また、テロップ等も入っていない。
どうやらTV番組でもないようだ。

ただ、全面にモザイクのかかった女の人の静止画が、ずーっと写っているだけ。

彼女たちは「ヤバい!」と感じ、顔を見合わせると、ゆっくりゆっくり、音を立てないようにその場から離れ、自転車に乗ると、彼女たちは全速力でふもとまで走った。

結局、他のメンバーとも合流できて、無事キャンプ場に戻れた。

未だに、あれが何だったのか分からない。
あれは何だったのか、今でも友人と会うとその話になる。

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