友達の話。
彼女が住んでるマンションの部屋に子供の幽霊が出ます。
歴代の彼氏が見たり触ったりしてるんだけど、一番強烈だったのが今の彼氏です。
いまの彼氏が引っ越してくるとき、子供の霊の気配を感じていたらしくて大きなクマのヌイグルミを持参して越してきました。
ローチェストの上にある小物類を全て片付けて、彼氏が「これから仲良くしてな」といいながらヌイグルミを置いたそうです。
そのせいか、その彼氏には子供霊は悪さをしなかったそうなんですが。。。
同棲開始から1年ほど経った冬に、彼女たちが大喧嘩をしたことがありました。
彼女(これが私の友達です)は夜のバイトをしてたので、ケンカの後 そのままバイトへ行ってしまったのですが、バイトを終えて帰宅したらヌイグルミが玄関まで転がり落ちてきていたそうです。
ヌイグルミが置かれている部屋から玄関までは部屋を一つとダイニングを通らないとたどり着けない「縦長」の間取りのマンションでした。
それまでにも彼氏と一緒に食事へ出かけて帰ってきたら玄関までヌイグルミが転がっていたことがあったらしいので、友達は「また遊んでたのかな?」程度に思いヌイグルミを拾ってタンスの上に置いたそうです。
ケンカをしたと電話で連絡を貰ってた私は毎度のこと・・・と仲裁のために彼女と一緒に部屋へ行ってましたので、ヌイグルミが落ちてるのは見ています。
「ねえ、彼氏いないじゃん」
と私が言うと友達が
「スねて出ていったんじゃなーい?」
と能天気に答えたんですが、台所のテーブルにレポート用紙が置いてあるのに気づき「何か置いてあるよー」と教えました。
友達が見てみると彼氏が残した書置きだったのですが、文章の空いたスペースに子供の手の手形が真っ赤についてました。
血のついた手を紙にこすりつけた感じといえばよいのでしょうか?
「・・・なんか普通じゃないよ、これ??」
というと、マッサオになった友達が
「もしかして自殺未遂とか起こしたんじゃないでしょうねー?」
と書置きを握り締めて
「とりあえず、近所探してみるから一緒に来て!」
と言ってきました。
マンションを出て、最寄のファミレスの前を通り過ぎようとして中を覗くと彼氏がスパゲティ食いながら少年ジャンプを読んでヘラヘラ笑っています。
少々 殺意を覚えましたが、別に腕に血もついてなさそうなのでファミレスに入っていって彼氏の名を呼んでみました。
友達も店に入ってきて「ごめんな、ごめんな」と泣きながら謝っていたんだけど、彼氏のほうも「いやー、おれこそゴメンな」と「勝手にやっとれ」なラブラブ状態。
「けっ」と思った私は店員さんにコーラを頼んでドカっとソファに座り込み
「手、ダイジョブなん?」
と聞いてみました。
「???」という表情の彼氏。
「みせてやれば?」と私が友達に言うと、友達が握り締めていたレポート用紙を出して彼氏に見せました。
用紙を見た瞬間、顔がこわばる彼氏。
「・・・なにこの手形???オレ つけてないぞ。手紙数行書いただけやぞ」
と言ったきり黙りこみ状態。
ファミレスの店員さんまでがレポート用紙を見て「え、なにこれ?怖いよ・・・」とビビっていました。
「この手さ、あの子とちがう?」
と私が言うと 彼氏が
「もしかして、出ていくなって言いたかったんかなぁ?」
と心配そうな顔で答えてきました。
「とにかく帰って、あの子を安心させてやろうよ」
と提案し彼女のマンションへ。
玄関を開けたら、彼女がタンスの上に置いたはずのヌイグルミが玄関に転がってきていました。
彼氏が拾ってタンスの置いてある部屋へ行き、ヌイグルミを置きながら
「心配かけてゴメンな。もう出ていかんからな。」
と言って謝ってました。
始発電車がある時間になったんで私はヌイグルミに「じゃあ帰るから。悪さしたらアカンよ」と声をかけて帰ってきたんですが、夕方に友達が電話をしてきて面白いことを言ってくれました。
「あの後、彼氏が仕事に行ったから私寝てたんやけど、起きたら枕元にヌイグルミが座っとってん」
・・・彼女もシンミリしてました。
子供も「もうケンカしないでね」って言いたかったのかなぁ?
ちなみに子供といっても、友達の水子でも何でもない、偶然マンションの部屋にいた霊のようです。
いまでも友達は この部屋に彼氏と一緒に住んでいます。
「結婚する予定やけど、ここから出る気は無い」
と話してました。