会社の先輩から聞かされた地元では有名な話らしい。
先輩の話し方がうまかったのか、ネタだと解っていてもこわかった。
うらおぼえなのでショートショート風に…
「危ない…!」
声と同時に二人は線路脇のスイカ畑に飛び込んだ。
目の前を轟然と音を響かせて列車が通り過ぎ、やがて紅いランプが漆黒の闇に消えていった。
「気がつかなかったなぁ」
「うん、この線路は見通しが悪いし、大声で唄をうたっていたからな」
「もうちょっと遅かったら、いまごろおたがいにパラパラ死体だぜ」
今晩、街で会合が有り、酒に酔った二人は線路づたいの近道で家に帰るところだった。
二人は土を払いながら立ち上がった。
「おい、せっかくのスイカ畑だ。
先に帰ったヒロシにおみやげを持ってってやろうか」
「そういえばあいつも近道を通ったんだろうか?」
二人は手探りでスイカを拾うと線路にはい上がった。
「あ」
一人が声を漏らし、手からスイカが落ちてザクリと割れた。
「もったいない。せっかく熟しているのに…」
「ヒロシが…」
果汁を赤くにじませたそのスイカには目と鼻と口があった。
なんでもそのヒロシっていう人は髪をツルツルに添っていたそうで…
小学生の小説みたいでスマン