祖父が亡くなった時の話
宗派で色々ありそうだけど、うちが檀家の寺ではお葬式と前後して海にわらじを投げに行く。
そうやって亡くなった人が無事に成仏できることを願うんだけど、どうやっても戻って来てしまう。
最初に従兄がやってみたが、波に揉まれるように戻って来た。
「投げ方が悪い。どれ貸してみろ」
と叔父がやるけれど、彼がやってもだめ。
「投げる場所が悪いんでしょ。今度は僕が」
と従兄がやると、なぜかぷかぷか浮いていたのにまた、戻ってくる。
父が
「後のことは心配しないで下さい」
と言ってから投げたら、そのまますーっと波と一緒に遠ざかって行った。
世間離れした祖父だったが、どうもまだこの世に未練があったのだろうか・・
でも、6年も前のことだけど、しんみりしてしまう。