砂嵐

砂嵐 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

「砂嵐をじっと見続けると狂う」、という話を聞いた。
その夜、俺は早速試すことにした。
好都合なことに、その日は外は豪雨で、何か怖いことをするには絶好のムードであった。

俺は更にムードを出す為に、部屋の電気を消し、明かりはテレビだけ、という状況にした。
窓を激しく叩く雨の音。部屋はテレビの灯りが怪しく照らす。そして時々雷鳴とともに、雷光が一瞬だけ部屋を真っ白に染める。
なかなか良い雰囲気の中、俺の実験がスタートした。

実験の開始は深夜0時。
とりあえず1時間は頑張ろうと、とにかくテレビに映る砂嵐を見続けた。
砂嵐というのは不思議なもので、じっと見ていると色んな風景に見えて来る。
風車が並ぶ山、女の人の顔のアップ、海の底の沈没船、など様々な映像が浮かんでくるのだ。
しかし、やはりやがて飽きてしまう。

時計を見ると午前1時。
目標の1時間は見続けた、ということで、俺は満足してその日はテレビを消して寝てしまった。
翌日、友人にそのことを話す。
結局深夜0時から1時間見続けたけど、頭が狂うことはなかったぞ、と。
すると友人が首をひねった。
「おかしいな、その時間帯は落雷で停電してたはずなんだけど」
以来、砂嵐は見ない様にしている。

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