送られてきたDVD

送られてきたDVD 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

現在進行形の出来事で、思い出すだけで背筋がゾッとします。
出会いは今から2年前です。
とあるゲームサイトの掲示板で、M(仮名)という男と知り合いました。
Mとは掲示板で知り合って以来、どんどん仲良くなっていきました。

そんなある日、Mは俺と『メル友になりたい』と、掲示板に自分のメアドを晒したので、それ以降は掲示板ではなく、メールでやり取りをするようになりました。
メールでは個人情報を暴露しあい、Mは会社員の男性であることが分かりました。

1年ほどメールのやり取りを続けていた頃、『送りたい物があるので、住所と名前を教えて欲しい』と、Mは言ってきました。
さすがに顔の知らない相手に、住所や本名を名乗るのは抵抗あったけれど、Mを信用した俺は、住所と名前を教えました。

それから1週間後、自宅に郵便物が送られてきました。
それはダンボール箱で、中には手紙とPS2のソフトが沢山入っていました。
手紙には、『仲良くしてれてありがとう』と感謝の文字。
しかし、その手紙に書かれていた文の最後が少し気になりました。

『あと1年だけ仲良くして欲しい』

とりあえず俺は、Mにメールで感謝の気持ちを伝えると同時に、あと1年ってどういうことだよ?とメールで尋ねることにしましたが、後にMから送られてきたメールには、『秘密』としか書いていませんでした。
まあ~どうでもいいやと、これ以上はMに尋ねることをやめることにしました。

それ以降も、Mから郵便物がどんどん届くようになりました。
漫画の本や音楽のCD、それにゲームソフトなど。
さすがに貰ってばかりでは悪いと思い、俺も要らないゲームソフトや漫画の本をMに送りました。
するとMからメールで、

『俺のところには送らないで欲しい』

と言ってきました。
なんでだろう?と思いましたが、まあ~貰える物は貰っておこうと、深くは考えませんでした。

そして去年のクリスマスの日、いつものようにMから郵便物が届きました。
コピーされた1枚のDVDで、アニメでもダビングしてくれたのだろうと、そのDVDを早速観ることにしました。
すると、画面には何も映らず、ザァーザァーと音だけ出していました。
なんだこれ?と思っていると、いきなり画像が映り、ボサボサの髪で無精ひげを生やした、眼鏡を掛けている男の顔がドアップで映り込んだ。
何かの調整をしているような仕草から、恐らくビデオカメラをセットしているのではないかと思いました。
そして、男の顔が離れたと思うと、そこの風景が映し出されました。

地面は汚い木床で、本やゴミが散乱していました。
壁に貼られたポスターは剥がれていて、男の部屋のような感じもしますが、腰掛けとその上に吊り上げられた輪の字のロープ以外は何もありませんでした。
その時、嫌な予感はしたのですが、その男は腰掛けに座ると、ブツブツと独り言を言い始めました。
テレビのボリュームを大きくして、耳を澄ましながら聞くと・・・

「愛子死ぬ愛子死ぬ愛子死ぬ愛子死ぬ愛子死ぬ愛子死ぬ愛子死ぬ・・・・・・」

この言葉だけを10分くらい言い続けました。
愛子って誰だろう?
この男と関係あるのかな?
そもそも、この男はMなのか?
喋り終わると男は腰掛けの上にあがり、輪の字の縄に首を掛けました。

えっ?!え?!え!!俺はまさか?と嫌な予感はしましたが、見事に的中しました。
縄に首を掛けた後、男は自分の足で椅子を蹴り飛ばし、首を吊ったまま華奢(きゃしゃ)な男の体は全く動かなくなりました。
ヒイイィィ!!俺は吃驚(びっくり)のあまり、腰を抜かしてしました。

しばらく放心状態が続きました。
そして落ち着いた後、すぐにMへメールを送りました。
・・・しかし、Mからメールは返ってきませんでした。
俺は心配になり、何度も何度もMにメールを送りましたが、結局は送り返してくれませんでした。

あの首吊り自殺の男性はMだったのか?
でもその時、俺の頭には“ある疑問”が過(よ)ぎりました。
この自殺した男がMだったとしたら、このDVDはどうやって俺に送ったんだ?
・・・そう考えただけで、心臓が止まる思いをしました。
その時点で、俺はこのDVDを警察に渡せば良かったのかも知れません。
しかし、俺は気が動転してしまい、冷静な判断が下せませんでした。
怖くなった俺は高校時代の友人に、このDVDを観てもらおうと思いました。
友人は「忙しいから後で観る」とのことで、そのDVDを渡しました。

友人にDVDを渡した日の深夜2時頃、携帯に電話がかかってきました。
友人は慌てた声で、

友「お、おい!これマジやばいぞ!すぐお祓いしてもらえ!」
俺「え?お祓いって?意味が分からんぞ?男が首吊り自殺をしている映像だぞ?」
友「お前・・・女が見えないのか?」
俺「女?」
友「着物姿の若い女が男の背中に抱きついて、こっちを不気味な顔で微笑んでいるんだよ!」
俺「俺はそんなの見えなかったぞ?」
友「とにかく明日このDVD返すから、お祓いして処分してもらえ!」

友人はそう言い残すと電話を切った。
その時までは、友人が寝ぼけていると思っていました。

そして次の日。
仕事が終わった後に友人宅に寄り、DVDを返してもらった後にもう一度だけ映像を観ることにしました。
・・・しかし、着物姿の女は映っていませんでした。

そこで、今度は彼女に観せることにしました。
3年前から付き合っている年上の彼女ですが、よく「霊感がある」と言っていました。
自分で再度確認してから2日後、彼女を俺のアパートに呼びました。

「ちょっと観て欲しいものがあるんだ」

そう言って、DVDを彼女と一緒に観ました。
すると・・・男が独り言を言っている最中に、

「キャアアアアアアアア!!」

と彼女は大声で叫び、腰を抜かしてしまいました。

「どうした?何か見えたの?」

と尋ねると彼女は、

「見えないの?白い着物姿で、頭が半分潰れて血をドロドロ流している女が・・・」

その時になってようやく、このDVDはヤバイと気づきました。
彼女は顔の色が真っ青で、失禁までしていました。
また、彼女も友人と同じで、絶対にお祓いしてもらった方がいい、と言ってました。

さらに次の日。
お寺の住職さんに無理に頼み込み、お祓いをしてもらいました。
住職さんは、「大丈夫、大丈夫」と言ってくれました。
そして、DVDは住職さんに預けました。
これで大丈夫なんだと安心しました。

しかし・・・次の日の朝に携帯が鳴って出てみると、友人の母親が慌てた声で訊ねてきました。

「カズ(仮名)が4日前から家に帰って来ないの。
どこにいるか知らない?」

俺は「知らない」とだけ答えました。
直後に嫌な予感がしたので、あの日以来連絡のなかった彼女に、急いで電話をしました。
しかし・・・電話やメールを何度も送っても、返事が返ってきません。
気になって彼女のアパートへ行きました。
でも、アパートに彼女は居ませんでした。

少し様子をみようと、2日間ほど彼女の連絡を待ちましたが、連絡はありませんでした。
俺は”マジで洒落にならない”と思い、彼女の実家の両親に連絡した後、警察に捜索願いを出しました。
友人にも何度も連絡しましたが、まだ家に戻っておらず、友人の親が捜索願いを出したとのこと。

それからさらに2日後、俺宛てに郵便物が届きました。
俺はそれを見て、狂ったように叫びました。
住職さんに処分してもらったはずの、あのDVDでした。
手紙などは何も入っておらず、送り主は“M”からでした。
俺は急いでMにメール送りましたが、相変わらず返事は返って来ず。

次の日に俺は会社を休み、再び住職さんのところへ行きました。
・・・すると、お寺は喪服姿の人だかりでした。
何をしているのか尋ねてみると、住職さんは昨晩、心臓発作で亡くなったとの話でした。
このDVDは何かがおかしい・・・
これはMの仕業かも知れない・・・
Mは生きている・・・
明晰ではないがDVDとMの事について、警察に相談しようと考えました。
その前にもう一度、DVDを確認しようと観てみました。
でも、やっぱり何も見えず、諦めてDVDを取り出そうとした時・・・

「・・・私が・・・見たい?」

喉が枯れたような声がはっきりと聞こえ、俺は腰を抜かして悲鳴を上げました。
急いで警察にDVDを提出して、Mの事を話しました。

それから現在に至りますが、未だ友人も彼女も見つかっておりません。
ただ、昨日・・・再びMからDVDが届きました。
手紙などは入っておらず、DVD1枚のみでした。
Mは一体何者なのでしょうか?映像の中で首吊り自殺をしていた男は一体何者なのでしょうか?今でも謎のままです。

そして今日、久し振りにMからメールが届きました。

『逃がさないよ。
そろそろ終わりにしてあげる。
これは愛子の復讐だ』

正直、意味が分かりません。
俺は“愛子”という女性を知りません。
ただ・・・俺もそろそろヤバイような気がしています。
最後になりますが、このDVDの映像を、動画サイトにアップしようか迷っています。
仲間が欲しいのは本音です。

だって、俺も人間ですし・・・

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