私が、鑑札助手をしていた時の話です。
田舎の町で、不審死事件がありました。
普段は、なにもないところなので大騒ぎです。
現場に急行しました。
田んぼの納屋のなかで、男性が木製の大型の台の上に横たわって、首を絞められて死んでいたのです。
現場検証を行いましたが、その状況がちょっと変わっていました。
死亡した男性の首は、木綿ロープで絞められていて、死因は窒息死。
そのロープは、机下に設置された電気モーターのプーリーにつながっており、そのモーターの動作により、頭側から首が絞まるような機構が設けられていたのです。
ちょうど、水平方向の絞首刑のように。
彼の手元には、そのモーターの電源スイッチが台に固定されて設置されているのです。
異常な事件です。現場が緊張しまいた。
調査していた経験のある鑑札が言います。
「これは、この男が、自動首絞め機を自作して、自分で楽しんでいるうちに死亡したのだろう。事故死だね。」
しかし、「そのように警察に思わせる偽装殺人じゃないだろうか?」と食い下がったのですが、「ないないw」といって意見は却下されました。
死亡した男性が全裸であったこと、射精した痕跡があったこと、勃起したまま死後硬直していたこと、彼以外の人物の存在を示す証拠がなかったこと、が決め手でした。
このオナマシンは、随分手の込んだ構造で、「人間、いろいろなことがあるものだ~」
と思いながら、「自作自動首絞め機を使った事故死事件について」という報告書を仕上げたのですが、定年退職を迎えた今考えるとちょっと間抜けですね
(そんな事件報告書を書かねばならかった私どもが…)。