真夜中のスーパー

真夜中のスーパー 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

作業着のおじさんで思い出したけど、数年前の真夜中12時頃、友達の飲み会の帰りに、携帯で嫁に、明日朝の牛乳がないからマックスバリュ(24時間営業)で買って来て、と言われたんで仕方なく行った。

スーパーは真夜中なのでお客さん数人しかいない。
店員も数人しかいない。
こんなだったら万引き犯いても捕まらなさそうだなと思ってたら、自分の背後スレスレを作業着のおじさんが早足で通り過ぎたと思ったら、棚の袋に入った菓子パンをレジ通してないのにおもむろに開け、かじった。

もぐもぐ食べて、

「確かに…」

とつぶやき、歩き出して弁当棚の前で止まって、幕の内弁当を取って立ったままフタを開け箸で食べだした。
真夜中のスーパーにはこんなキチガイが出るんだコワーて見てたら、館内放送で

“作業員は肉売り場最寄りの事務所へ~”

とかアナウンスがあって、その作業着のおじさんも食べてた弁当箱を棚に返し、急ぎ足でその事務所へ向かって行った。
おいおい、お前は違うだろ、待てキチガイ!と思いながらついて行くと、作業着のおじさんは事務所の扉の前で俺に振り返り、

「小僧、おまえにはまだ早い」

と言って扉を開けた。

事務所の中に作業着のおじさんそっくりのおじさんが何人も見えた。
てか、事務所の中は眩しいくらいに明るい…
あれ?窓の外は夕焼け?なんで?
約1秒ほどの光景だったので他は覚えてない。
自分も入ろうと扉に手をかけたが、鍵かけたように開かなかった。

スーパーを後にして家に着いて初めて気づいた。

嫁がスーパーの袋を覗いて、牛乳買ってきてって言ったじゃん、なにこの食いかけの菓子パンとお弁当は?
レシートも無いし、家計簿に付けられないじゃないよー。

色々な意味でそのスーパーには寄りつけなくなっている。

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