この盆、帰省した私に従兄弟がしてくれた話。あんま怖くないかも。
従兄弟の友人K本って人は、たまーに幽霊みたいなのを見ちゃう人らしく、時々従兄弟に話してくれるらしい。以下はその話。
その日、K本は諸用を終えて新幹線で帰宅することにしたそうな。
駅で買った新聞、雑誌と鞄を手にとりあえず空いてる喫煙席に座るK本。
平日の4時頃という中途半端な時間帯故に、乗りあわせた車両には全体的に人は少なく、二人掛けのシートの窓側に座り、悠々足を組んで広げた新聞に目を通せるような状態。
雑誌を読み終わり、窓の外を見ているうちにやがてうつらうつらし始める。
しばらく浅く眠っていたらしいが、しばらくしてふと薄目を開ける。
「今、小倉辺りかな?」とか思いながら、K本は何気なく窓の外を見る。
田んぼばかりの風景に雨が降りそうな雲。
窓を通じて外の冷気を肌に感じる。
やがて新幹線はトンネルに入る。
ゴゥっと言う風の音がして耳鳴りがし始めた。
トンネルに入ると、気圧の低下の関係で耳鳴りはすることはK本も知っていたが、その日はやたらとひどいように思えたらしい。
なんとなく再び目をつぶりかけたK本はふと窓から何かの視線を感じた。
チラと横に目をやると、窓に通路を挟んで隣の席にいる子供が映っている。
小学校低学年くらいの女の子が座席に立ち此方を見ている。
何がしたいのかわからない、ポカンと口を開けた女の子。
直立不動の女の子の睨んでいるのか無表情なのかわからない目は、窓の中からしばらくK本を見下してくる。
K本はその間、顔を背ける事もできず、半分金縛りのような状態でずっと窓に映ってる女の子と目を合わせ続けていたらしい。
トンネルを抜けたら窓に映った女の子も見えなくなり、ちょっとした金縛りも解け(←ここら辺がよくわからないと思うんだけど)
直ぐ通路を挟んだ隣の席を見ても本当に誰もいなかったらしい。
消えた、みたいな感じ。
視線を感じトンネルを抜ける数十秒間、短いのか長いのかよくわからない時間、K本は嫌な汗をかきっぱなしだったそうで。
とにかくじっと自分の目を見てくるんだと。
無表情なのに何故か口だけポカンと開けていて歯が見えないんだと。
その様子を想像したら結構、恐かった…
見間違い(単なるかわいそうな人)であって欲しい…