チャイム

チャイム 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

実体験です。

近所の弁当屋で求人していたので、一昨日面接を受けに行きました。
あまり立地条件も良くないし昼のピークは過ぎた時間帯だったから店の中には店員さん数名しかいませんでした。
接客に来た人に「面接に来た●●です」と言うと店長さんはまだ来ていないとの事。
私は奥の部屋に通されて店長が来るのを待つ事になりました。
丸椅子に座ると何となく気が抜けて手持ち無沙汰になり、かといって携帯を弄るのは失礼かなと思って業務用デスクの上に有る監視カメラのモニターを何となく見ていました。
すると店のドアが開いて黒っぽい上着を羽織った男の人が入ってきました。
男の人はカウンターで注文はせず、何故か長椅子に腰掛けてしまいました。
モニターには厨房は映っていませんが、店員さんの笑い声とかが時折聞こえてきます。
でも誰もカウンターに戻ってきたりしません。

私が来た時はすぐ店員さんが出てきたので、おかしいなぁと見つめていると、漸く店長さんが出勤してきて面接となりました。
しばらく問答を繰り返して「多分採用だと思いますよー」と言われ、ほっとしながらその日は帰ることになりました。
そこでふと男の人を思い出し、帰り際モニターを見てみました。男の人はまだ俯いたまま座っています。
私の近所は老人が多いので、男の人も高齢で、疲れて休憩してるのだろうと結論づけて部屋を出ました。
そして厨房を通ってカウンターの所に出ると、男の人はもう居ませんでした。
部屋からカウンターまでは10秒もかからないのでちょっと変に思いながら店員さんに挨拶して、入り口のドアに手を掛けました。
客の出入りを知らせるチャイムがピンポーンと鳴ります。
そこで私は気が付きました。
あの男の人が入ってくる時、チャイムは鳴っていなかったんです。
入り口は二つありますが、いずれもチャイムが鳴る仕組みになっているのにです。
私は何だか怖くなって自転車に乗って家に帰りました。

そして今日、採用された事を告げる電話が掛かってきました。

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