まだ私が高校生の時の話。
隣のクラスにTという、少し風変わりな人がいました。
私とTは授業が重なっていたこともあり、次第に仲良くなっていきました。
ある日Tから突拍子もない話を聞く事になりました。
その内容とは、『自分は霊能力者で、普段は霊に気付かれないように眼鏡で霊力を抑えている』と言うのです。
もちろん私は冗談として受け取っていたのですが、ある日それを認めざるを得ない状況になります。
私は少しですが霊の気配を感じる(背筋がゾワゾワする程度)ことができます。
だから、本当に霊能力があるのか確かめようと、私の知っている中で一番だと思われるN寺に連れていくことにしました。
初めは嫌がっていたのですが、私の説得の甲斐あってか、渋々ながらも了承してくれました。
しかし、あまり夜遅くだと親に怒られるという事もあり、待ち合わせて20時頃に向かいました。
季節は冬。その頃には月は雲で隠れ、空は漆黒の闇でした。
私とTは少しためらいながらも、こっそりと奥へと足を進めました。
よく、『霊力がある人の傍に居ると、自分も感じるようになる』と聞きますが、まったくその通りでした。
突然
──リーン…リーン…
と、どこからともなく鈴のような音が聞こえてきました。
これが夏なら風鈴の音かと思えるのですが、この寒空の中でそれは有り得ません。
びっくりして周りを見渡すと、寺の入り口付近の木が揺れたように感じました。
「これはちょっとヤバいかもしれん…。あれ、あんまり見るなよ?」
Tはそう言い、寺の奥─墓場を指差しました。
私はその指に従い墓場に目をやると、何か白いものが蠢いていました。
私は思わず声を上げそうになりましたが、喉からかすれた音が出ただけで、叫び声になりませんでした。
白いものから目が離せずにいるとTが、
「…気付かれた、逃げるぞ」
そう言って寺の向かいにあるコンビニまで走りました。
その途中、Tが眼鏡を外し、何かブツブツとお経のようなものを唱えながら手を動かしていました。
1分足らずでコンビニまで辿り着き、あれは何だったのか、どうヤバかったのかを尋ねました。
Tが言うには、あれは墓に眠っている方ではなく、その近くの木で首を吊って自殺した霊だという。
推測だが、人に相当の恨みを残して自殺した為、あそこで墓に入った仏を掘り起こそうとしていた。
捕まっていたら、自分の霊力では危険だったかもしれない。
でも、寺の入り口に簡単な結界を張ったから、もう諦めている頃だろう。
そう言ってTは私に、『何か毎日身に付けている物はないか?』と尋ねました。
私は、小学生から使っている財布を見せました。
どうやらこの財布のチェーンがお守りの代わりになるらしく、ずっと持っているようにと言われました。
その後別々に帰路に着き、その日は何事もなく過ごしました。
以上が私の初霊体験です。
拙い文章で読みにくく、しかも小分けしてしまってすいませんでした…。
しかも作文みたいに…orz