実家が寺なんだけどさ、あかずの間があるのさ。
子供の頃から気になってたけど、肺結核で死んだ人を隔離した部屋だからあかずの間にしてる、病気になるからあけちゃダメって言われてたのさ。
でも大人になってからいくらなんでも結核菌単体で生き残ってるわけないしなぁ…
って気づいてコソーリ入ってみたのさ。
思った以上にきちんと片付けられていて、埃が積もってるくらいでちゃんと窓から光もはいってるし、さして怖い感じの部屋じゃなかったんだよ。
子供の頃は前を通るのも怖かったのになぁって、なんか拍子抜けで・・・
したら部屋のおくに、長い髪の女性がいるじゃありませんか!
めちゃくちゃぎょっとしてあわてたさ。
いったん部屋を飛び出してぜいぜいいったあと、あわてて茶の間に戻ってみのさんのTVをみて心を落ち着かせたのさ。
みのもんたのトークの俗っぽさに比べ、なんだかその長い髪の女の姿が異様に非現実的に思えてきて。
よせばいいのにもう一度のぞきにいったんだよ。
とても現実とは思えなくてね。
したらまだいたんだよ、彼女。
人形だったんだよ、よくできた生人形。
なんだぁ!おどかしやがって…正直ほっとしてやっと部屋を見回す余裕ができたんだよ。
油絵がたくさんあって、昔はオイルが臭かったって母親が言ってたなぁっておぼろげに思い出したよ。
だんだん度胸もでてきて、あの人形をしげしげ眺めることができるようになったんだ。
実に良くできた人形で…ほら、わかるだろ?
年甲斐もなくめくってみたくなったんだよ、着物の裾を。
朱鷺色の伊達巻までちゃんと着ててさ、おおっ!って思って◎をみたらさ…あったんだよ!おまむこ!!!!!!!!!!
正確に言うと穴があいててさ、そこに竹筒があって、布が螺旋状に詰め込まれていたんだよ。
予想だけど、そこにお湯でもしみ込ませて挿入してたんだろうね。
ああ…結核でお嫁さんもらえなかった人がいて、これを奥さんにしてたんだろうなぁって。
なんだか貞操観念の強かった時代の人妻を無理やり陵辱したような罪悪感にとらわれて、ごめんなーって。
きちんと元通りにしてやって。その日はもう夜遅くなってしまってたんで、風呂入ってメシ食ってぐっすり寝たんだ。
んで次の日、妹のマイナスイオンブラシ持って、おわびに髪でもすいてやろうって、またあかずの間に入ったんだ。
したらさ…口からなんか出てるの。
舌を噛んでるみたいな…ぐるぐるとした茶色状のものがでてるの…
なんじゃこりゃ!!!!!って思ったけど、ここで逃げると余計怖くなるって思って勇気を出して近づいてみたんだよ。
案の定、包帯みたいなただの布で、よかった!!!昨日触った拍子に出ちゃったんだなぁって思って首をもったとたんに…
首もげちゃったんだよぉ!!!!
正確に言うと、首の下から包帯に巻かれた骨がぷら~んってぶら下がってたんだ。
寺だろ?うち。
たぶん若くして死んだおねぇちゃんかなんかの死体を掘り起こして人形にして・・・
奥さんにしてたんじゃないかな。
指・・・入れなきゃ良かった。