もう一人の自分

もう一人の自分 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

駄文失礼します。
よく聞くのが、もう一人の自分と会ってしまうと、死んでしまうと、いう噂。

これは、少し違うお話。
あなたは、もう一人の自分を見たことがあるだろうか?
当時小学生だった私は、ある夜中に不調を感じました。
寝ていたのですが、あまりのだるさに目を覚ますと頭上で蠢く物体がありました。
小さいランプをつけてその物体を確認したところ、ゴキブリでした。
本当の虫の報せともとれる内容でした。

虫に対して、異常なほど恐怖心があった私は、震え上がりました。
虫のあまりの嫌いさ故に無意識に察知し、反応したのだと思いました。
しかし、恐怖はそれでは無かったのです。

目を覚ましてから、再び眠りに就くことが出来ず、布団の中で繰返し寝返りを打っては、頭痛と吐き気に襲われ始めたのです。
そのうちに、布団が剥ぎ取られているような、寒さを感じました。
「ふとん返してよ」と叫びました。
実際に音が出ていたかどうかは分かりませんが……。
叫ぶと人影が近づいて来たのです。
しかし、不調だった私には、それに対する恐怖はなく、普通に見つめ合って居ました、。
「お父さんとお母さんを起こすんだよ、これから悲しいことがあるからね、直ぐに電話に出れるようにね、良いね、ちゃんとだよ。」
声は違うのですが、その人の背格好は、当時の私と同じ『私』でした。
声は穏やかで優しい声でした。

それでも、私は両親を起こすことはしませんでした。
ふとんと格闘することどれくらいか、朝漸く落ち着くと、私は母がTVでも観ているであろう、和室を通り台所に行きました。
和室を通る時、母の後ろ姿が見えたので、
「おはよう」と、
声を掛けたのですが、一言も返事が返って来ませんでした。

台所から、リビングに移動すると、台所から、私の姿が見えなくなります。

リビングで座っていると、
「〇〇ちゃんが起きなさい」
と、私の名前を呼ぶ声が聞こえます。
さっきおはよようって言ったはずなのに、聞こえなかったのかなと、「起きてる」と、返事をしました。
ところが、その数分の間に声のやり取りが続きました。

母が階段を上って行く音が聞こえて来ました。
そして、直ぐに下りてくると、それを待っていたかのように電話がなり、母が出ました。
暗い顔でリビングに入って来ました。
私もリビングにいるのに、母は、私には気が付かないのか、一緒に暮らしいた、父と兄に静かに言いました。
「おじいちゃんね、昨日亡くなったって」
そして、再び上がって行くと、大きな声で私の名前を呼びました。
返事をしました、が、また届きません。

私は母達が座っていた食卓につき、声をかけると、「やっと下りてきたね」と、言われ、そこで知りました。
もう一人の私が代わりに部屋で返事をし、本来の私はしばらく見えて無かったことを。

その後、おじいちゃんのお葬式の席で聞いた話ですが、あの私が不調した夜中に、うちに電話をして下った時に私が出て、用件をまともに聞かず、切ってしまったということ。

これが私の体験したドッペルゲンガーの話です。
そして、これには虫の報せ何かも含まれています。

まぁ、私のいう虫とは、ゴキブリという所謂一般に聞く虫の報せとは違い過ぎますが。
ドッペルゲンガーは、また色の無い、影と声のものですが、上手くまとめてられていませんが、つまり、母が会話したという、もう一人の可能性があるというだけの、ほぼ日常から逸脱してない、自然に近いものをドッペルゲンガーと名付けただけのものです。

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